【淫語で男をイカすAV女優の系譜】
元祖痴女AVアイドルといえば、2002年に『接吻カフェテリア』(アロマ企画)デビューした朝河蘭(あさかわ・らん)だろう。エキゾチックな美貌と長い舌で男の顔を舐めまくる激しい接吻テクニックが魅力だったが、淫語テクも群を抜いていた。カメラを見つめながら囁くお姉さまキャラの淫語は、息づかいまで伝わってきそうでゾクゾクしたものだ。引退後、熟女系AV女優として復帰する元AVアイドルが多いなか、復帰の噂どころか近況さえも伝わってこないが、熟れた彼女の淫語を聞いてみたいというのは、はかない望みなのだろか。
1998年に『31歳恥じらいデビュー』(クリスタル映像)でデビューした牧原れい子は淫語の女王だ。雑誌『GORO』(小学館)で1990年に「中山れい子」としてグラビアデビューしたあと、Vシネマなどに出演。ストリップ業界で活躍したあと、熟女系のAV女優として多数の作品に出演した。ちょっと鼻にかかった甘い声で囁くのだが、誘惑するような喋り方はとっても自然で、まるでアドリブのように次々と淫語を繰り出してくるのだ。前述のソフト・オン・デマンドの『オナニーのお手伝いしてあげる』シリーズは企画者の上田T氏によると、当初牧原を想定した企画だったそうで、彼女の復活&専属契約を経て、満を持しての2001年8月リリース作品の起用となったそうだ。
“癒し系の淫語”といえば2002年に『Number.1!』(MOODYZ)でデビューした南波杏(なんばあん)だ。主観撮り作品が多いのは淫語が得意だからこそで、2004年リリースの『大人の保育園』(MOODYZ)では、男がすべてを忘れて子どもになって先生に甘えることができる保育園という設定で、優しく語りかける卑猥な言葉の連続。特典映像のローターオナニーを見せつけるシーンでは、アクメに達していく様子の淫語表現が素晴らしい。彼女の主観撮り作品の中でも評価が高かったようで、続編もリリースされている。
大手AV通販サイトで作品を“淫語”で掲載すれば、今年の11月リリース分だけで76タイトルもヒットする(11月17日現在)。ここまで淫語がAVに普及すれば、当然、ハズレ女優や作品に当たってしまう可能性も高くなってしまう。淫語は誰にでも操ることができる言葉ではない。AV女優の(エロ系)言語センスや妄想力、過去の性体験、そして監督の指導力など、さまざまな条件が組み合わされてこそ、素晴らしい淫語プレイが繰り広げられる。淫語作品は玉手箱のように開けてみなければ中身は分からないので、短時間のサンプル映像だけでなく、たまにはジックリと淫語作品を鑑賞することをオススメしたい。
(文=坂上五郎)