「紙媒体はもう終わったのか?」
出版不況が叫ばれる昨今、そんな話題がちらほらと聞こえてくるようになった。出版業界の市場規模は1996年の2兆6564億円をピークに下がり続け、2012年には1兆7398億円にまで縮小。いまだ巨大市場とも呼べるが、右肩下がりの状況は変わらず、今後は中堅出版社の倒産も相次ぐだろうと予測されている。
特にエロ本は、今年に入って休刊や廃刊が続いている。一時代を築いたグラビア系エロ雑誌の『デラべっぴん』の流れを汲む『べっぴんDMM』『素っぴんDMM』『Bejean』(ジーオーティー)の3誌が今年の8月で休刊。業界内で手堅いと言われていたスカトロ専門誌『お尻倶楽部』(三和出版)も10月をもって22年の歴史に幕を閉じた。ネットで簡単に無修正のエロ動画が見られるようになり、若い世代の獲得に失敗したエロ本は軒並み苦戦を強いられている。
エロ本業界の縮小は、すなわちAV女優のメディア露出の減少を意味している。息の長いAVプロダクション関係者によると、「出版系の仕事は20年前の3分の1程度』だという。一部の人気女優はテレビなどで露出する機会もあるが、それもスポット起用ばかり。もはやAV女優のヌードグラビアなど、どこにも需要がないと思われていた。
そんな苦しい状況のなか、今新たなジャンルが静かなブームを呼んでいるという。
それが、ヌードポーズブックだ。
そもそもポーズブックというのはデッサンやイラストを描く人に向けた美術書だ。一部の専門的な出版社が発行していただけで、書店でも美術書コーナーに置かれることが常であった。
しかし、ここ最近のヌードポーズブックは少々事情が変わってきている。秋葉原や神保町などの書店では、アイドルたちのグラビア・写真集と並んで置かれているのだ。表紙を飾っているのは、人気AV女優たち。紗倉まなや波多野結衣など、メンズサイゾー読者に馴染みの深い顔ぶればかりである。
「一昨年ごろからAV女優を起用したヌードポーズブックが堅調にヒットを続けています。デッサンやイラストの参考用に購入される方がほとんどですが、AV女優のファンにも好評です。なかには重版されるものもあり、こうしたヌードポーズブックの認知度も少しずつ高まっているようです」(某書店員)
なかでも今年5月に発売された『ビジュアルヌード・ポーズBOOK』(二見書房)は、永遠の処女・つぼみを起用して話題を呼んだ。発売から半年を過ぎでもAmazonのデッサン部門で10位以内をキープ。ロングセラーを続けている。こうした好調の理由を、同書の編集を担当した鈴木ユータ氏に聞いてみた。
「ヌードポーズブックは、従来の写真集とは違い、掲載されているのは白バックにヌードだけです。そのため、体のラインが浮き彫りになり、モデルそのものの美しさが強調されます。それに加え、AV女優を起用することによって妖艶さがプラスされます。決して派手ではありませんが、写真集としても楽しめるような作りになっていることが、好調の要因だろうと思います。もちろん“つぼ様”のご威光もあるでしょうが(笑)」(フリー編集者・鈴木ユータ氏)
その『ビジュアルヌード・ポーズBOOK』の第2弾が12月上旬に発売される。起用されたAV女優は、DMMの2013年AV女優ランキングで年間1位となった上原亜衣。第2弾も少なくない反響を呼びそうだ。