このアメリカ芸能界史上最大の流出事件に対し、FBI(米連邦捜査局)は1日から捜査を開始。また、ネットユーザーたちの独自の調査によって、米ジョージア州のIT技術者の27歳男性が犯人ではないかと騒がれたが、男性はメディアの取材に「自分は転載しただけでリーク元ではない」と否定している。
恐るべき広がりを見せている事件だが、そもそもなぜ流出が起きてしまったのだろうか。
一部では「iCloud」がハッキングされたとの報道もあったが、アップル社は「システムそのものへのハッキングではない」と否定。同社によると「ユーザーを個別に標的としたパスワード推測や『秘密の質問』の答えの推測など、これまで無数に繰り返されてきた伝統的な手口」だという。不正アクセスがあったことは認めながらも、システムの脆弱性とは関係なく、ネットセキュリティ意識の低いセレブを狙い撃ちにした犯行だと見ているようだ。
「まだ具体的な手口は分かってしませんが、アップル社のシステムは厳重ですから、通常なら『iCloud』がハックされたとは考えにくい。ですから、ニセサイトでパスワードなどを盗み取る『フィッシング』や、ウイルスが仕込まれたアプリをインストールしてしまったケースなど、ユーザーの不注意に付け込んだ犯行である可能性が高い。ただ、万が一『iCloud』がハッキングされたとなれば、これはセレブのゴシップというだけでなくIT業界の根幹までも揺るがす世界的な事件になる」(IT関係者)
システムが原因にせよ、ユーザーのセキュリティ意識が問題にせよ、クラウドサービスは過信禁物。私的なハレンチ写真だけでなく、企業の重要データが流出するような重大事件も起こりうる。
流出事件の余波は広がり続けているが、われわれ一般庶民にとって大事なのは、この事件を教訓に「他人に見られて困るようなものはクラウドサービスに保存しない」というセキュリティの常識をしっかりと認識することだろう。
(文=佐藤勇馬/Yellow Tear Drops)