男性であれば、女性から注目されたい、女性の目を引きたいと思うことはしばしばであろう。あるいは、モテない腹いせやうっぷん晴らしのために、いたずらを仕掛けることもある。本人は軽い感じで行ったつもりでも、ただでは済まないことになるケースも少なくない。
明治21年の話だ。横浜・石川仲町(現・横浜市中区石川町)に住むある医師は、以前、東京で軍医補をしていた際に一人の芸者に夢中になった。そして、あれこれアプローチしたものの、まったく相手にされなかった。おそらく、お座敷にもさんざん足を運び、かなりのカネもつぎ込んだのだろう。それでもいっこうによい顔をしてくれない芸者に、医師は悶々とした思いをつのらせていった。
そんな時、医師の勤め先で男性の遺体解剖が行われた。すると医師は、「アイツにイタズラしてやろう」とでも思ったのだろう、遺体からペニスを切り取ってこっそり持ち帰った。そして、こともあろうに、振り向いてくれないことへの恨み言を書いた手紙を添えると、人を使って芸者のもとに送り届けさせたのだ。
受け取った芸者が包みを開くと、中にはとんでもないブツが。驚くとともに、すぐにそのペニスと手紙をしかるべき所に届け出た。当然、大騒ぎとなる。何しろ、切断された人体の一部である。ただのイタズラでは済むわけがない。しかも、手紙も送りつけているわけだから、身元もばれている。医師は軍に呼び出され、当たり前だがクビになった。