「死んだら楽になる…」 苦悩の青春時代を振り返る壇蜜の魅力と未来


 「20代のころには何もなしえなかったが、それには意味があったと思う」と壇蜜は振り返っていたが、就職活動がうまくいかず、ようやく就職しても不安に駆られ、職を転々とするなんてことは今の時代よくある話。自己実現といった大げさな言葉を使わずとも、思っていた未来とは違うという思いは誰の胸にも多かれ少なかれあるものだろう。しかし、そんな若かりしころのありきたりな苦悩も、壇蜜にとっては尋常なものではなく、日々の暮らしの中で、突然湿疹が出るなど精神的に厳しいものだったと振り返った。

 番組の中で何度も繰り返されていたのが、“必要とされたい”という思い。壇蜜にとって、自分のやりたいことや自分の気持ちなどは二の次なのだろう。だからこそ彼女は、冒頭で記したように、ここまでの売れっ子になりながらも、深夜ドラマで過激なシーンを惜しげもなく披露する。求められれば、それに全力で取り組むのが壇蜜というタレントなのだ。

 デビュー以降、瞬く間にブレイクし、今年の日本アカデミー賞では新人俳優賞を受賞するなど、女優としての評価も確立しつつある壇蜜。現在では、BSや深夜番組を中心にした活動が目立ち、一時ほどの露出は見られないものの、彼女ならではの存在感でタレントとしての格は着実に上がっている。その活動を支えているのも、“必要とされたい”という強い思いからくる過剰なまでの謙虚さなのだろう。一世を風靡したタレントでありながら、自らのキャラクターを徹底し、視聴者の期待に応える壇蜜には、息の長い芸能生活が期待できそうだ。
(文=峯尾/http://mineoneo.exblog.jp/
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