【AV撮影現場今昔】 最終回:劇場化するAV撮影


■100人の素人男が生中出しファック

 ぶっかけAVブームで、今まで全くAV業界にかかわりのなかった素人が汁男優として活躍していたこの時代のことは以前書いた通りだが、そこからさらに一歩進んで、実際に女優とセックスをしてみたいという者を大々的に募集して行われた撮影が『小泉麻由の素人100人斬り 小泉麻由』(ムーディーズ/2002年)である。主演の小泉麻由は2001年にデビューした107cm・Jカップの爆乳ギャルで、人気上昇中の最中であった。

 この少し前、ビデ倫作品の『奥菜亜美のAV黄金伝説 100人斬りにチャレンジする女』(プリンセス/2001年)が話題になっていたが、セルAVとしてはさらに過激であらねばならないこともあり、本作ではなんと一部で連続“中出し”セックスにも挑戦することになったのだ。

 「特設リング」が設けられた広い大会場の中央部、赤いシーツに包まれたキングサイズのベッド上で、ネットの募集を通じて集まった男たちが順番に小泉麻由ちゃんとエッチを繰り広げるという現実離れしたシュールな光景に、もはやエロを通り越した衝撃を受けた次第である。

 集まった“素人男優”たちは、ムーディーズのホームページの募集告知を見て応募してきた者たちだけにネットユーザー率も高く、「2ちゃんねる」をはじめとするネット掲示板でもこのときの撮影は注目を集めた。当日の出演者と思われる者の書き込みも多く、この頃からさまざまなAV情報、女優情報がネット上に寄せられるようになってきて今日に至っている。AV情報誌の斜陽も実は既にこのときには始まっていたのだとみることもできるが…。

 この『100人斬り』は、現在ではアイデアポケットのシリーズになっていて、最近では卯水咲流、桜井あゆ、春原未来などの人気女優が果敢に挑戦して話題を集めている。『ぶっかけ中出しアナルファック!』と同じく、この過激な撮影が今日まで続くシリーズになるとは、この当時は誰も考えていなかったのではないだろうか。

 
■集団レイプの実況ライブ撮影

 AV撮影の“劇場化”をまさに体現した大掛かりなセットで行われた撮影が、『クイズ レイプショック! 3 超人気AVアイドル秋本優奈が生中出し輪姦 初解禁!!』(ディープス/2003年)だった。

 制作費数千万円をかけたといわれる、電飾に覆われた巨大な滑り台のようなローラーコースターが広いスタジオに内に設置された光景は圧巻の一言。ピカピカの電飾で飾られたこのコースターの上に女優が乗り、出題される10問のクイズに回答し、不正解の時点でコースターの座席が急勾配のレールの上を滑り落ち、待ち構える男たちからレイプ、ぶっかけ、中出しとなんでもアリの集団凌辱を受けてしまうという壮絶な企画作品だ。

 しかもこんな過激な撮影に、ビデ倫メーカーから単体女優としてデビューを飾った秋元優奈ちゃんが出演するというからさらに驚きであった。実際の撮影は予想通り(!?)苛烈なもので、カメラを持つ取材陣も大忙しであった!(スタッフ、取材陣の写り込みも多数)

 出演する女優陣にとって今までのAV観が覆されたに違いないハードな内容であったが、とにかくスタッフも男優陣も撮影の流れを切らないように力を尽くしていて、まさに“ライブ撮影”という言葉がピッタリとくる撮影だったともいえる。

 素人考えでも、この1作の制作費で「普通のAV」が何本も撮れることは明らかであった。しかし、あえてこのような撮影を企画し、媒体に喧伝して取材陣を呼び、業界にインパクトを与えるチャレンジングな作品が少なくなかったのは、やはりこの時代のAV界の“勢い”だったのだと思う。

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