【AV撮影現場今昔】 第5回:マニアAV花盛り

0804nudesexy_fla.jpg※イメージ画像:Thinkstockより

 10年ひと昔前のAVと今日の最新トレンドを撮影現場の模様から振り返る短期集中連載『AV撮影現場今昔』。第5回は、それまで日陰の存在(!?)だったマニアックなAVが世に出回り、それまでのAVのイメージを大きく変えて多様化しはじめた経緯を回顧する。

<『AV撮影現場今昔』バックナンバー>
第1回:「擬似本番女優」の時代
第2回:潮吹きAV創成期
第3回:疾風怒濤のぶっかけブーム(前篇)
第4回:疾風怒濤のぶっかけブーム(後篇…または汁男優篇)

■マニアAV、世にはばかる!

 2000年当時、インディーズAVと呼ばれていたセルAVは存在そのものがマイナーであり、レンタルで借りて見る“ビデ倫”作品、いわゆる普通のAVでは飽き足らない人々によって支えられた同好会やサークルのようなものであったともいえる。もともとの存在からしてマイナー志向、マニア嗜好であった。

 マニアックなセルAV――具体的にはアナル物やスカトロなどのキツいものから盗撮、ブルセラ、女体フェチなど――の情報は、当然のことながら基本的にそれ相応のマニア誌の守備範囲であって、筆者がかかわっていた一般的なAV情報誌では(多少AVレビューで紹介することはあっても)なかなか取り上げ難いものであった。

 しかし、それが2000年前後になって状況が少しずつ変化を見せはじめる。前回のぶっかけAVもそうだが、有力セルAVメーカーの勃興と共にそれまでは知られていなかったようなマイナージャンルのAVが徐々に商品流通チャンネルに乗って各所で販売されるようになったのだ。

 その結果これらのマニア作品を一般的なAV情報誌でも紹介しやすくなり、少ないながらもマニアAVの撮影を取材する機会も出てきた。筆者が最初に取材したマニアックな撮影現場は、「パイパンAV」であった。今でこそパイパンや剃毛プレイはそれほど珍しいものではないが、ヘアすら解禁していないビデ倫のモザイクが標準だった当時のことだけに、インディーズのパイパンAVは実にインパクトのある素材だった。初めて直に目にする剃毛シーンと剃り上げた女優さんたちの股間に、とにかく目が離せない取材だったことを憶えている。ちなみにこの取材中、あるシーンで“スケベな手”役で出演したことも今となってはいい思い出である(苦笑)。

 
■取材するも最後まで理解不可能

 インディーズAVのマニア作とはまた少し違った意味で、90年代からはじまっていた一部のAVの“実験映画化”や“サブカル芸術化”の動きは、まさにこの時代にこそ頂点を迎えていた感もある。サブカルAVのパイオニアともいわれるメーカー・V&Rプランニングのロードムービー的な企画AVをはじめ、実は“ヘンなAV”は今以上に多かった時代でもあったといえる。もちろん、それまではそのような“ヘンなAV”を取材することなどなかったのだが(取材しても雑誌掲載は難しかった)、インディーズAVの隆盛と共に誌面の守備範囲も若干広がったためか、この時期に何度か当時のV&Rプランニングの撮影を取材する機会を得た。

 その中でもいろんな意味で忘れられない取材になったのが、『欲望痴帯 あなたの願望叶えます』(ノアセレクトスペシャル/テンプルすわ監督)だった。出演する森下星ちゃんという可愛い娘さんは、なんと“足の匂いマニア”ということで、彼女が撮影中に出会った男たちの足を嗅ぎまくり、舐めまくって“ベスト・オブ・臭い足”を決定するという企画作品だったのだ。

 移動しながら行われるドキュメンタリー撮影で、取材者として一行に加わった筆者もまずはさっそく彼女に靴下を脱がされて足の匂いを嗅がれ、足指の1本1本を舐められることになった。生憎(!?)、朝にシャワーを浴びてから来たので、匂い&味ともに彼女のお気には召さなかったようだったが…(苦笑)。その後も都内某所の駅前や、CS放送局などで男たちの足を嗅いで舐めまわる撮影が行われハプニングも続出。愉快で痛快なドキュメンタリー撮影ではあったが、実のところ取材していても果たしてどんなユーザーが本作をあえて選んで鑑賞するのか、最後までよくわからなかったというのが正直な感想であった(笑)。

 しかし当時はビデ倫メーカーであったV&Rの主戦場はレンタル店であり、1本数百円のレンタル料金でこの時期のドキュメンタリーAVを習慣的に見ていたファンが一定数存在していたのも事実だ。今春公開された『テレクラキャノンボール2013』(HMJM)で再びV&R全盛時の遺伝子を受け継ぐドキュメンタリーAVが注目を集めているが、パッケージ販売にはあまり向いていないと思われるこの種の作品のファンを、今後はストリーミング視聴やネットレンタルなどでいかに再び“定期視聴者”にしていくのかが、これからのAV業界の課題のひとつだと思う次第である。

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