AV女優を管理するプロダクションの仕組みとは

AV業界への就職を考える人へ! これがAV会社の実態だ!! 第五回「AV女優を管理するプロダクションの仕組み」

0709officegirl_fla.jpg※イメージ画像:Thinkstockより

 おそらく一般の方にとって、もっとも触れる機会が少ないのがAV女優が所属するプロダクションだ。いったいどんな仕組みで、どんなふうに女優をスカウトし、管理しているのか。業界人でも未知の部分が多い世界の一端にできるかぎり踏み込んでいこう。

 原則的にプロダクションの役割は芸能人であっても、AV女優であっても変わらない。所属する女優をメーカーや出版社に売り込んだり、スケジュールを管理する。いわゆるマネージャーの機能を果たしている。

 マネージャーの実力次第で仕事の本数にも差が出るのは当然だが、ことさら大きな負担となるのが女優の精神面のケアだ。ずいぶん健全になったとはいえ、AV女優という仕事は肉体的にも精神的にもハード。ときには情緒不安定になることもある。そんなとき、マネージャーは細やかな気配りを利かせて、女優の好きなモノを送ったり、長時間の不満話に付き合ったりする。それがたとえマネージャーにとっての休日であってもだ。つまり24時間365日、彼らは担当女優のことを頭の片隅に入れておかなければならない。仕事だけでなく、女優の私生活までも常に注意を払わなければならない。人間的な器の大きさが試される職業といえよう。

 とはいえ、こうしたマネージャー業務は芸能界でも同様である。芸能プロダクションとの大きな違いは、そのスカウティングにある。東京都では2012年に迷惑防止条例が改正され、路上でのスカウト行為が禁止されたが、それ以前は繁華街に多くのスカウトマンが存在していた。

 誤解している人もいるかもしれないが、ほとんどのスカウトマンは、プロダクションの職員ではない。フリーランスが圧倒的に多いのだ。彼らはスカウティングした女性をプロダクションに紹介し、その対価としてギャラをもらって生きている。AV出演の本数に応じてマージンが発生することも多く、なかには月に200万円以上を稼ぎ出す者も存在する。現在は路上ではなく、幅広い人脈を使って暗躍している。数が減ったとはいえ、今なおAV女優の供給源であることに間違いはない。

 ただし、フリースカウトマンとは金銭トラブルが発生することもあり、彼らとの接触を拒むプロダクションが増えている。というのも90年代以前は募集をしても、AVに出演しようという女性自体が少なかったために、スカウトマンに頼らざるをえなかった。

 しかし、AV女優のメディアへの露出増加と、性産業に対する女性の理解が進んだことによって、自ら望んでAVプロダクションの門を叩く女性が急増。ホームページ上の応募だけで所属女優を補っているプロダクションも少なくない。応募理由もかつては金銭的な理由がほとんどだったが、今はAV女優に憧れているからという女性も多い。たとえば、DMMの2013年年間AV女優ランキングで1位を獲得した上原亜衣は、かねてから同じAV女優のつぼみに憧れていたそうだ。

 こうしてプロダクションは目まぐるしく入れ替わる女優たちを確保している。最近では所属女優が多すぎて、人員が足りないと嘆くマネージャーもいるほど。ときには朝6時から夜12時まで、ほとんど女優の送り迎えで終わることもあるそうだ。その間に出演オファーの電話やメールをチェック。今ではタブレットPCが欠かせないという。単純な比較はできないかもしれないが、路上駐車した車中で昼から寝ている営業マンよりよほどハードな仕事なのだ。

 しかし、どれだけ彼らが仕事に精を出しても世間の見方が変わることはない。プロダクションが女性をだましてAVに出演させていると思う方も多いだろう。ネット上でも憶測の議論が繰り広げられ、あたかも〝悪しきもの〟に仕立てようとしているようだ。たしかに実話誌で書かれるような闇も一部では存在する。しかし、そのほとんどが時代錯誤の偏見である。

 はっきり言おう。AV業界は芸能界よりも健全である。覚せい剤で捕まる女優も少なければ、キメセクをさせるメーカーなど、皆無に等しい。ましてや筆者の知りうるかぎり、大手上場企業のほうが、枕営業や麻薬汚染が激しいし、政財界との黒い繋がりも未だ絶えない。芸能界や一般企業というのは〝オモテ〟であるからこそ〝ウラ〟では、背筋の凍るようなやり取りが行われているのだ。

 一方のAV業界は、悪くいえば世間知らずたちが身を寄せ合って、必死にヌケるものを作ろうとしている。そもそもが裏社会であるがゆえに〝ウラ〟の顔は、それほど黒くもない。もちろん、さまざまなバック団体があるのも事実だが、それは銀行だって新聞社だって同様だ。ただ単に、セックスを売り物にしているだけである。それが大きな問題と思われるかもしれないが、フェミニストの言うような人権侵害など、お門違いである。逆にAV業界は人権を守ろうとして、ここまで成長してきたのだ。

 筆者は思う。AV業界を偏見のまなざしで見ることこそが、人権侵害ではないだろうか。この業界に生きているだけで、その人物のキャラクターまで貶められるいわれはない。もしAV業界で働きたいと思ったのであれば、何も後ろめたい思いをする必要はない。堂々と「自分はAVを作っている」と言ってしまえばいい。このコラムが未来のAVクリエイターたちに届けば、本望である。
(文=中河原みゆき)

【AV業界への就職を考える人へ! これがAV会社の実態だ!!】バックナンバー
第一回「AV業界の構造とコンプレックスについて」
第二回「AVメーカーの本当の仕事 ~前編~」
第三回「AVメーカーの本当の仕事 ~後編~」
第四回「険しすぎる男優への道」

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