奇才・中島哲也が惚れ込んだ “悪魔のような微笑み”の女優・小松菜奈! クセモノ揃いの豪華俳優陣による“クズ”演技合戦は必見!!


 そんな彼に関わる人々も、クズ度の高さは負けていない。完全に大人をナメきった不良少年やコギャルにくわえ、目的達成のためなら手段を選ばない凶悪なヤクザが藤島の前に立ちはだかる。しかも、かっての仲間であったはずの警察さえ、出てくる度にヘラヘラした顔で元上司の藤島に対し、完全に見下した態度とりまくる。そんな連中をオダギリジョーや青木崇高、二階堂ふみといった当代一の演技派がこぞって演じ、画面からはたまらない人生の腐臭がただよって来るような状態に…。他にも中谷美紀(『嫌われ松子の一生』)や妻夫木聡に國村隼(『パコと魔法の絵本』)、橋本愛(『告白』)といった、過去の中島作品を彩った役者陣も負けず劣らずの熱演で、救いようがないドラマをさらにヒートアップさせてくれる。

 

20140627kawaki06.jpg(C)2014「渇き。」製作委員会
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 とりわけ一番恐ろしい人間性を発揮し、映画内で巻き起こる全ての凶行を糸引く存在として、重い存在感を魅せつけるのが加奈子役を演じる小松菜奈。08年にモデルデビューして以降、女優としてはまだ経験の浅いにもかかわらず、本作ではその清楚な顔立ちとは裏腹に、悪魔の様な微笑みで関わる者を皆奈落への底へと突き落とす鬼畜ぶりを存分に見せつける。役者に対する要求が厳しく、軋轢が生じることすらも日常茶飯事の中島監督が絶賛したのも納得の逸材だ。

 

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 そんな加奈子の足跡を追う藤島と、彼女の中学時代の同級生でいじめられっ子の“ボク”(清水尋也)が徐々に惹かれていくさまを、映画は平行して描いていく。『復讐者に憐れみを』(02)や『オールド・ボーイ』(03)などパク・チャヌク監督の復讐劇を彷彿とさせる、ヒリヒリした緊張感漂う藤島の追跡劇。それに対して“ボク”の人物描写は、アニメ表現やポップ感満載なパーティーシーンなど、Kawaiiカルチャー的な要素に満ち溢れるものとなっている。このギャップこそが『嫌われ松子』や『パコ』をダーク風味なファンタジーに仕上げ、『告白』で危険水域ギリギリのネタを恐れることなく突き詰めていった、中島監督の真骨頂と言えるだろう。

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