まず、最初の発表となったのは「最優秀新人女優賞」。ノミネートされた8名の新人女優(西川ゆい、卯水咲流、希島あいり、桜井あゆ、白石茉莉奈、新山らん、夢乃あいか、吉川あいみ)が登壇したが、誰もがみな緊張に足を震わせ、早くも涙ぐんでいた。そんな独特な空気の中で発表された栄えある初代新人王は、白石茉莉奈。子役タレントとして活躍していた経歴を持ち、結婚後にSODクリエイトの専属女優となった癒し系ママドルで、愛称は「まりりん」。温和な人柄ながらも情熱的なセックスを魅せてくれることで、デビューするや否やブレイクした2013年を代表する新人女優である。
受賞の喜びを彼女はこう語った。
「私にとってこの賞はとても重いもので、もしも受賞できたのならば、今後はその重みに打ち勝てるような女優になってやろうと誓っていました。誰が取ってもおかしくないこの賞をいただけたということは、ファンの方、スタッフさん、支えてくれた家族のおかげ。誰一人欠けても取れなかったと思います。今後もご指導ご鞭撻のほど、よろしくお願いいたします」
新人女優ではあるが、既婚者らしい堂々としたスピーチを行ったまりりん。その凛とした美しさに見惚れていると、感極まったように後列から飛び出して彼女を抱き締める女優がいた。元同メーカーの専属女優だった吉川あいみ(現チームゼロ専属女優)である。ほんの数分前までライバル同士だったはずだが、素直に勝利を称え抱きしめた彼女の好意に、まりりんは身を預けるようにして泣き崩れてしまった。そして、その光景を前にした他のノミネート新人も、ぞろぞろと彼女に駆け寄り一丸となって喜びをあらわにし始めた。まさかの光景だった。
アイドルの受賞式であれば、殺伐とした空気が流れてもいい場面かもしれない。けれど、彼女たちの顔にはそれぞれに誇りが感じられ、全員が光栄の極みとばかりに目を潤ませていた。頂点を逃してもなお、支え合う彼女たちに、AV女優ならではの謙虚さ、新人女優ゆえの初々しさが感じられ、会場には惜しみない拍手が降り注いだ。思わぬところで、心和まされる一幕であった。