「小悪魔ageha」のインフォレストが倒産…ギャラ未払いで経費も回収できない阿鼻叫喚


 単に資金繰りというだけでなく、門外漢が無暗に現場を混乱させ、有能なスタッフが外部に流出してしまったことも大きく影響していたようだ。さらに代表者の交代や組織再編など混乱の余波もあり、巻き返しできずに12年3月期の年売上高は約44億円まで下がった。信用が低下したことで資金繰りが厳しくなり、事業停止に至ってしまったようである。

 突然の解雇や未払い問題などで関係者は阿鼻叫喚となっているが、同社はコンテンツの売却を進めており、その中でも明暗がクッキリと分かれているようだ。

 同社の中でも売上好調といわれた10代男性向けファッション誌「Samurai ELO」は、16日付の編集部の公式Twitterで「4月24日発売のサムライELOは三栄書房から発売されます」と早々に発表。事業停止発表の前から売却交渉をしていたらしく、「AUTO SPORT」「ドリフト天国」などを発行する三栄書房への移籍が決まったようだ。

 また、手堅いとされるパズル部門も譲渡が成立。インフォレストが出版していた「クロスワードキング」「ナンクロキング」「アロークロス」「漢字道」などのパズル雑誌は、ニュースサイト「RBB TODAY」の運営などを手掛ける株式会社イードが発行を引き継ぐ。

 だが「小悪魔ageha」「ナッツ」「Samurai magazine」「COSMODE」など、多くの雑誌の今後は未定の状態。引き受け先が見つからなければ休刊=廃刊となってしまうだけに、読者は今後の成り行きが気になるところ。しかし、出版不況の中で雑誌を引き継ぐという企業はそう多くないため、「小悪魔ageha」のように名のある雑誌でも先行きは不透明だ。

 出版不況は今に始まったことではないが、インフォレストほどの規模の会社が潰れてしまったという衝撃の余波は今後もしばらく続きそうである。
(文=佐藤勇馬/Yellow Tear Drops

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