今、テレビ東京が熱い。太川陽介と蛭子能収による『ローカル路線バス乗り継ぎの旅』が絶好調で、昨年からは天下のテレビ朝日まで類似企画をはじめた。さらに、先月終了した金曜夜8時のドラマ『三匹のおっさん ~正義の味方、見参!!~』の最終回は視聴率12.6%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)と、人気番組『ぴったんこカン・カン』(TBS系)を裏に回しての大健闘だ。
さらに注目したいのは、存在すれば世紀の発見となるSTAP細胞の有無で揺れる、小保方晴子氏の会見の翌朝。各局がその模様を放映する中で、テレ東だけは『おはスタ』新レギュラーとなったBerryz工房の“ももち”こと嗣永桃子が得意の“にゃん語”を連発していた。このブレのなさは「さすがテレ東」というべきで、より磨きがかかっているようだ。
「だが、テレ東の快進撃はここまでだろう」とある放送作家は話す。
「テレビ東京は、他局ほど潤沢な予算があるわけではない。つまり、一流タレントを揃えたりするバラエティの本流とは、離れたところで対抗せざるを得ない。それが『タレントを揃えたバラエティはもう見飽きた』という時流に合っているに過ぎない。だが“テレ東ならでは”であったはずの『路線バス』に代表される低予算企画が本流になれば、今度はそれについて『もう見飽きた』という意見が出るのは歴史の必然です」
つまり現在は、単純に長年やってきたテレ東の番組づくりが見直されているだけ。最終的には、硬軟バランスよく確信犯的にさまざまな番組を配している、日本テレビやテレビ朝日といった局が結局は強いということらしい。
かつてテレビ東京で人気を博した番組といえば、モーニング娘。やCHEMISTRYなどを輩出したオーディションバラエティ『ASAYAN』や、さまざまなジャンルの達人たちが真剣勝負を繰り広げる『TVチャンピオン』などが挙げられる。それらは当時の時代やテレビ業界へのカウンターパンチのようなものであり、それゆえゲリラ的な面白さがあった。しかし、それは「いち番組の面白さ」であって、テレ東が視聴率の“万年最下位”から脱するきっかけにまではなりえていない。