「とくに秀逸だったのは、香取と中居ですね。香取はときに言葉に詰まりながらも、生放送に遅刻した際のエピソードなどに触れ、さまざまな事情から『笑えないときもあった』とアイドルのタブーとも言えそうな感情を吐露する場面は涙なくしては見られません。『答えはいりませんが、そもそも、なんで終わるんですか』という言葉は国民の声を代弁しているようでしたね。また、ドラマや映画にはクランクアップなどの“ゴール”がありますが、終わらないことを目指さなければならないバラエティを中居は『残酷』と表現しました。しかも、ゴールがないにもかかわらず、時が来たら終わらなければならない。無念さをにじませながらも、そうバラエティの本質を語る姿は胸を打つものがありました。しっかりと鶴瓶をいじって笑いも交えるあたり、さすがにエンターテイナーですよね。今や名MCといわれる中居ですが、『いいとも』でもまれたことで芸能界での立ち位置を確立し、20年という“成人”を迎えたことでさらにバラエティで生きていくという覚悟をタモリの前で表したともいえるでしょう。『僕たちとんねるずも、タモリさんの残してくれた作品です』と、過去にタモリが赤塚不二夫の葬儀で述べた弔辞をパクった石橋貴明も含め、彼らは別格だった感があります。いずれもタモリへの愛と尊敬に満ちていて、今一番のタモロスになっているのはあの場にいた芸能人たちかもしれませんね」(同)
国民的グループといわれ、不動の人気を誇るSMAPも、『いいとも』終了に際して改めてその株を上げた格好だ。中居と香取がレギュラーになったのは1994年で、まだSMAPは本格ブレイク前の時期といえる。その後、徐々にスターへの階段を登り始めながらも『いいとも』への出演を続けたことを考えても、まさにSMAPと『いいとも』の歴史は重なるともいえる。視聴者にとって救いなのは、『いいとも』は終わってしまったが、SMAPはまだ芸能界の海を泳ぎ続けていくということなのかもしれない。
(文=津本ひろとし)