「騒動のきっかけは、第1話で三上演じる施設長が子どもたちに『お前たちはペットショップの犬と同じ』などと言い放ち、平手打ちをするなどの過激なシーンだった。しかし、それがあったからこそ今回の施設長の言葉や本当の人格が視聴者の胸に迫ってくる。そういったフィクションの仕掛けを理解してもらえないと、制作側は本当にドラマが作れなくなる。それに元々は『施設の実態と違う』という抗議だったのに、いつの間にか『子どもたちが傷付く!』というクレーム一辺倒になっているのも変な話です。もし今回の名ゼリフが抗議団体に対する“反論”だとしたら、同業者として脚本家を褒めたたえたいですよ」(制作会社関係者)
そんな中、騒動の思わぬ余波も生まれている。個人が運営する三上のファンサイトに抗議が殺到し、閉鎖に追い込まれてしまったのだ。
母娘二代で三上のファンだという運営者は、今月19日に「実在の児童養護施設のかたから、うちのサイトにも苦情のメールが届きました」と報告。その抗議は「あんな職員はいない」「ドラマのせいで誤った認識をされる」「三上博史のせいだ」「子供に何かあったらどう責任をとってくれるんだ」といった内容だったといい、サイトの閉鎖を迫られたという。運営者は何度かメールのやり取りをして精一杯の対応をしたものの「ただ『子供が傷付く』と繰りかえされ、こちらの思いは受け入れてもらえなかった」とのことだ。
「まるで戦犯探しか魔女狩りのよう」と嘆く運営者は、母親が入院中で自身も受験生として多忙なためこれ以上の対応ができず、抗議のヒートアップに身の危険を感じたこともあり、同日にサイトを閉鎖してしまった。
施設の名をかたったイタズラの可能性もあるが、少なくとも三上は用意された脚本と演出に沿って演技しただけであり、しかも公式ですらない私設のファンサイトが抗議を受けたのであれば完全にトバッチリである。ドラマの内容に抗議の声があるのは事実だが、それに乗じた異常なクレーマーが増殖しているようだ。
第6話は平均視聴率11.5%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)と過去最低を記録した『明日ママ』だが、五輪の影響で軒並みドラマ視聴率が下がっている中で第1話から二桁をキープしており、全話平均は『S -最後の警官-』(TBS系)に次ぐ今クール第2位に位置している。注目度は依然として高く、ドラマの内外で波乱が巻き起こっているだけに今後も目が離せなさそうだ。
(文=佐藤勇馬/Yellow Tear Drops)