街中で続々とイルミネーションの光が灯るこの時期はその雰囲気に飲まれてか、老若男女問わずどうも浮き足立っている人が多いように感じる。敬虔なキリスト教徒が救い主であるイエス・キリストの降誕を待ち望んでいる一方、「クリスマスはローストチキンとケーキで乾杯、メインイベントはプレゼント交換に決まってる!」的な冬の一大イベントというイメージの強い日本では、週ごと教会に通うほうがマイノリティなのである。
それはともかく、若者にとってのクリスマスは「聖夜」ならぬ「性夜」としての側面が強いのはご承知のとおり。「性の6時間」(日本国内で1年間で最もセックスする人が多いと言われている6時間。クリスマス・イブの午後9時から、クリスマスの午前3時までの6時間を指す)というネットスラングが存在するあたり、クリスマスを恋人同士で過ごすカップルたちのセックス率は相当高いものであるだろう。またこの時期は独り身であることが通常時の3割以上寂しく辛いことだと感じる頃。「誰でもいいからとりあえず一緒にクリスマスを過ごしたい病」を発症する男女も多く、一夜限りのセックスのハードルがとんでもなく下がる時期でもある。
クリスマス、寂しい独身女、一夜限りのセックス…すべてのキーワードがようやく揃ったのでここからが本題。バイエル薬品が20~40代の女性を対象に行った調査で、約6割もの女性が妊娠を望まないにもかかわらず、「避妊をしないことがある」ことが判明した。調査では過去1年間の性行為についての回答で、55.5%の女性が「必ず避妊をした」と回答したが、その中には不確実な避妊法とされる「膣外射精法」、いわゆる「外出し」を選んでいる人も。この外出しを避妊しないとしてカウントすると、「避妊をしないことがあった」が57%という結果になるのだ。
妊娠を望まないのに避妊をしない女子が約6割というのは由々しき事態であるが、驚きなのは避妊をしない理由のほうだ。
・安全日だったから(39.6%)
・産んでもいいと思ったから(36.5%)
・大丈夫な気がしたから(35.5%)
(ほか:言い出せなかった、準備をしていなかった、相手が避妊を嫌がったから)
ドラマやマンガでよくある、女の子が「今日…安全日だから…」と頬を染めて中出しOKを伝えるというのはあながち間違いではないということに、うっかり鼻の下を2cmほどだらしなく伸ばしてしまったが、結構な人数が「大丈夫な気がしたから」という根拠のない自信を持っていることに度肝を抜かれた。
また、避妊の主導権を男性に任せるという傾向も、20代では57.1%という高さで、妊娠というある意味ではリスクを抱えている女性が「大丈夫な気がしたから」とあっけらかんと言うのもさもありなんといったところか。
避妊法に関しても、コンドームの74.6%に続いて、外出しが35.3%とこれまた高い数値が出ている。「男性が膣外射精を望んだ場合にどうするか?」といった質問では、なんと「とくに気にせずにOKする」と回答した女性が16.8%、他「NOと言えずにOKしてしまう」「NOと言うがそれでも相手が望めばOKしてしまう」を合わせると55.7%もの女性が外出しのみでの避妊でセックスを許していることもわかった。ちなみに、外出しをOKにする理由には、約4割が「雰囲気を壊したくないから」と回答。その場の雰囲気に流される女性はことのほか多いようだ。
クリスマスという、もはや雰囲気しかないと言っても過言ではないロマンティックすぎる夜。外あるいは中出しを拒めない雰囲気は抜群ではあるのだが、避妊ひとつさえ男性の都合に振り回される奥手の女性は、このクリスマスの雰囲気に流されず自分のことをまず大事に考えて過ごしてほしいものである。
(文=三坂稲史)