性の目覚めが特撮ヒロインという方は多いのではないか。古くは『ウルトラセブン』のアンヌ隊員を演じたひし美ゆり子。もともとアンヌ隊員は違う女優が演じる予定だったが降板が決まり、急遽代役に駆り出されたのがひし美だった。時間的にも予算的にも余裕がないために、元の女優の採寸で作った隊員服を着たらグラマラス体型の彼女には窮屈でピチピチになってしまった。しかし、それが子供たちの脳裏に焼き付き、後に神格化されていった。
ひし美が入所していた東宝俳優養成所の同期である牧れいも、特撮ヒロインの歴史において絶対に外せない存在だ。彼女が松原真理隊員役で出演した『スーパーロボット レッドバロン』のプロデューサーは、視聴者サービスのため、彼女にパンチラを要求したという。当初は自前のパンティを見せろと言われたらしいが、さすがに牧は断ったという逸話もある。
特撮ヒロインではなく、敵役の女優に魅せられたという向きもいるだろう。その草分け的存在と言えるのが萩原佐代子だ。もともと彼女は「スーパー戦隊シリーズ」第7作目に当たる『科学戦隊ダイナマン』でピンク役を演じ人気を博したが、「スーパー戦隊シリーズ」第10作目の『超新星フラッシュマン』では悪役に転身。レー・ネフェルという役名でヒョウ柄を取り入れたセクシーな全身タイツを着用して、後の特撮作品に受け継がれる“悪いお姉さん”というジャンルのパイオニアとなった。
こうした特撮ドラマに出演する女優のお色気を見て育った子供たちが、後にクリエイタ―となり、特撮ドラマや映画はもちろん、漫画、アニメなどでリスペクトを捧げてきた。その代表格と言えるのが、今年10月からテレビ東京で放映中の『衝撃ゴウライガン!!』で総監督を務める雨宮慶太だろう。本作でもRioや星野あかりなどのAV女優を起用して、深夜だからこそできるヌードシーンやお色気シーンを惜しげもなくインサートしているが、彼は映画初監督作の『ゼイラム』で早くも主人公をヒロインに設定。代表作の『牙狼-GARO-』では、シリーズ第一作目から及川奈央をゲスト出演させた。また映画『牙狼-GARO- ~RED REQUIEM~』で重要な役柄に原紗央莉を起用。さらにドラマ『狼-GARO- ~MAKAISENKI~』ではひし美ゆり子をレギュラー起用した上、お色気要員として沖田杏梨、片桐えりりかなどをゲスト出演させるなど、積極的にAV女優をキャスティングしてきた。
前述した及川奈央は、『炎神戦隊ゴーオンジャー 』の悪いお姉さん・害水大臣ケガレシアを演じて特撮ファンの間でカリスマ的な人気を誇り、その後も数多くの特撮作品に出演している。
かようにAVと特撮は密接な関係にあり、実際に特撮を取り入れたAVも数多く制作されてきた。中でも特撮に造詣の深い中野貴雄監督作品は、AVに特撮ヒロイン的な要素を盛り込み、マニアの間でカルト的な人気を誇っている。
ここに紹介する『対魔忍ユキカゼ』は、累計5万本の大ヒットPCゲームが原作で、今年11月にリリースしたオリジナルアニメも好セールスを記録。本作も最先端のVFXを駆使した本格的な特撮作品に仕上がっている。
ストーリーの舞台は魑魅魍魎が跋扈する近未来の日本。人魔結託した犯罪組織や企業が暗躍して、強者が弱者を圧倒的に支配する絶望的な社会を作り出していた。時の政府は人魔外道の悪に対抗するため、人の身で『魔』に対抗できる“忍のもの”たちからなる集団を組織。人は彼らのことを “対魔忍”と呼んだ。
※その他の動画も公式サイトでは観られます!
そんな対魔忍の養成機関『五東学園』に通うのがヒロインの水城ユキカゼと、その先輩である秋山凛子。ある日、二人は東京の地下深くに存在する闇の歓楽街「ヨミハラ」に潜入せよという命を受ける。任務は、行方不明となっているユキカゼの母親・不知火を救出するという内容。そのためには高級娼館の娼婦に成り済ますというリスクが伴ったが、二人は危険を顧みず敵地へと乗り込んでいく……。
ユキカゼを演じるのは「kawaii*」の専属女優として2011年にデビューした夏目優希で、幼さの残るウブなヒロイン像を自然体で演じる。凛子役は同じく2011年にSODクリエイトからデビューしたさとう遥希で、クールで負けん気の強い役柄を好演。スレンダーで幼児体型の夏目に対して、グラマラスかつ極上の美巨乳を所有するさとうという、対照的な二人をWヒロインに据えたのがビジュアル的にも内容的にも抜群の効果を生み出している。また不知火役を演じる2009年にマックス・エーからデビューした中堅女優の椎名ゆなは、軟体動物のように男に絡み付きながら洗練された痴女プレイを繰り出し、二人とは違った大人のエロスを醸し出す。