2007年に女優の藤原紀香と結婚し、その2年後に自身の浮気が原因で離婚したお笑い芸人の陣内智則(39)。今年4月に放送された『ナインティナインのオールナイトニッポン』(ニッポン放送)で本人が振り返っていたように、連日ワイドショーで浮気男として叩かれた陣内は、離婚直後にことごとく仕事を失い、テレビ出演はおろかイベントなどの営業も激減した。しかし、ようやく禊が済んだのか、ここのところの陣内は絶好調。レギュラー番組こそ『内村とザワつく夜』(TBS系)が増えただけとはいえ、人気バラエティ番組に出ずっぱりの状態が続いている。
たとえば陣内は、11月10日、17日と2週連続で『さんまのからくりTV』(TBS系)に出演。大御所・明石家さんまのアシスタントMCとして、ツッコミも流暢に進行役をこなした。さらに20日深夜に放送された『ナカイの窓』(日本テレビ系)では3度目となるゲストMCを担当。話題の芸能人たちをゲストに迎え、芸人として的確にツッコミを入れながら見事な進行を見せていた。
「司会を担当する芸人さんにはツッコミの方が多いのですが、ピン芸人である陣内さんは、ステージの上ではボケとツッコミの一人二役ですからね。司会をする際には、ボケもツッコミも両方できるという強みがあるわけです。また、『ナカイの窓』での心理分析で“根が真面目”と指摘されていたように、陣内さんはきっちりと台本を読み込むタイプの芸人さんとしても有名ですからね。進行も安心して任せられるというわけです」(制作会社関係者)
自由奔放に振舞うことが許され、しかも、そうした姿こそが人気の秘訣といえるさんまや中居といった大物タレントたち。番組のメインMCである彼らは、あまりにも大御所であるがゆえに進行には携わらないことが多い。そんなとき、起用されるのが陣内などの司会ができる芸人というわけだ。
「そうしたMCのアシスタントというのは、メインのタレントさんとの相性が重要ですからね。どんなにうまくMCをこなせても、メインのタレントと馬が合わなければ決して起用されることはありません。たとえば、とんねるずさんの場合ですとバナナマンの設楽さんやおぎやはぎの矢作さんといったように、そのメンツは限られてきますよね。陣内さんの場合は、さんまさんとの相性が抜群のようですから、今後もさんまさんのアシスタント的に活躍するのではないでしょうか」(前出)
15日の東スポには「テレビ界が争奪する次世代の名司会者候補」として、フットボールアワーの後藤輝基と有吉弘行の名前が挙がっていたが、そもそも次世代といっても、まだまだ大御所たちは健在。ビッグ3の下には、とんねるず、ダウンタウン、ウッチャンナンチャンの第3世代がいるし、その下には、くりぃむしちゅー、さまぁ~ず、雨上がり決死隊といったミドル3がいる。どれだけ次世代の名司会者と期待されても、彼らを押しのけて活躍するのは至難の業だ。
しかしアシスタントMCという立ち位置なら話は別になる。自由奔放な大御所たちに付き、彼らのスタイルに合わせた進行ができれば、立場を確立することができるだろう。まさに今の陣内は、アシスタントMCというポジションを獲得しつつある。それが彼の戦略かどうかはわからないが、頭打ちの芸人界で、しかも次々と若手が台頭する現状では有効な手段といえる。メインでもなく、ひな壇でもないMCのアシスタントという枠。あまり売れすぎても務まらないのが、この枠のポイントといえる。テレビ界の次世代の司会者争いというと、とかくメインMCに目がいきがちだが、本当に熾烈な争いはアシスタント枠で繰り広げられているのかもしれない。大物たちと付き合いがあり、彼らを満足させる腕を持っている中堅芸人たちによるアシスタントMCの争奪戦。陣内がその争いのトップグループにいるのは間違いない。
(文=峯尾/http://mineoneo.exblog.jp/)
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