フジテレビの凋落が止まらない。かねてからの低視聴率に加えてバラエティー番組での暴力行為やヤラセが問題化し、スポンサー離れが深刻化。逆転を狙った人気タレント起用の新番組もハズレ続きで窮地に追い込まれている。だが、フジ社員たちは相変わらず高給で涼しい顔をしているというから不思議だ。その裏にはどんなカラクリがあるのだろうか。
このところのフジは不祥事続きだ。8月に放送された『FNS27時間テレビ』では、加藤浩次がAKB48の渡辺麻友の頭を蹴り付けたことが問題視され、BPO(放送倫理・番組向上機構)が異例の注意勧告を出すまでに至った。また、同局の数少ない高視聴率バラエティー『ほこ×たて』は出演者の告発によってヤラセが発覚し、突然の打ち切りが決定。その後の内部調査によって更に6件のヤラセが判明し、動物虐待疑惑まで飛び出した。BPOはすでに『ほこ×たて』を審議入りの対象に指定しており、07年に発覚した同じフジ系列の『発掘!あるある大事典2』(関西テレビ制作)のヤラセ事件以来の大問題になることは確定的だ。
また、お昼の長寿番組として続いてきた『笑っていいとも!』の来年3月での終了が発表された際には、功労者である司会のタモリと番組側の確執が表面化。しかも、スポンサーや共演者らにほとんど知らせなかったことで更なる不信感を生みだした。
落ち目のフジは新番組も期待できない。ダウンタウン司会の新番組『教訓のススメ』が3日にスタートしたが、結果は平均視聴率7.2%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)。ウラ番組にプロ野球・日本シリーズがあったとはいえ、初回としては大惨敗といえる数字だ。
「同番組は初回2時間スペシャルとして放送されましたが、本来は夜7時台に『ほこ×たて』を放送し、レギュラー枠と同じ夜8時からの予定だった。しかし『ほこ×たて』の打ち切りによって予定が狂い、急遽予定を変更して2時間スペシャルに仕立て上げたという経緯があります。そんな急作りの企画では、視聴者に受け入れてもらえるわけがありません」(芸能関係者)
この日曜日夜8時枠は、9月まで同じくダウンタウン司会の『爆笑 大日本アカン警察』を放送していた時間帯。同番組は低視聴率で打ち切られ、ダウンタウン続投で新番組となったのだが、いきなり数字がかんばしくないとなればダウンタウンが枠を失うことにもなりかねない。早急に改善策を講じなければいけないところであるが、同番組のチーフプロデューサー(CP)は『ほこ×たて』のCPも兼任しており、目立った動きができなくなっていると東京スポーツで報じられている。BPOの御沙汰を待つ身であるだけに、視聴率アップのために過激な演出を仕掛けるわけにはいかず、打つ手なしの状況のようだ。
低視聴率と連続する不祥事によってスポンサー離れも深刻化している。スポットCMの売上は激減しており、番組提供に名乗りを上げる企業も減少中。低視聴率ではCMを流す意味がなく、もしヘタに問題でも起こされればスポンサーにも火の粉が降りかかってくる可能性があるだけに、どの企業もフジを敬遠しているのだ。
これだけ窮地に追い込まれているにもかかわらず、シワ寄せを食らうのも焦っているのも現場の制作会社や外部スタッフばかり。フジ社員は相変わらずの高給取りで楽観ムードを漂わせている者すらいるという。自社が傾いているという状況なのにナゼなのか。
「フジは副業が絶好調なんです。美術展などの開催によるイベント関連の売上は昨年度で100億円を超えており、映画事業やDVDなどの関連グッズでも手堅く儲けている。今年も映画事業では『真夏の方程式』『そして父になる』などが当たり、イベント事業も09年から開催している『お台場合衆国』が人気で来場者数と入場料で単純計算しただけでも毎年50億円近い売上です。 同イベントは利益率が非常に高く、EXILEメンバーがメニューを考案した『居酒屋えぐざいる』では食事1品とドリンク1杯を客に強制的に注文させるシステムですが、ギョーザ800円、缶バッジ入りラムネ800円、ポテトチップス500円といった高めの値段設定でも飛ぶように売れました。これに味を占めたフジは、ウエディング事業やソーシャルゲーム事業などにも手を出し、本業が何か分からないほど。これらの副業収入がある限り、社員の『フジは安泰』という意識は消えないでしょう」(テレビ局関係者)
もう放送免許を返上してイベント屋になったらどうか。
(文=佐藤勇馬/Yellow Tear Drops)