オナニーを見られたい男たち、それぞれの事情

1025flashaer_fla.jpg※イメージ画像 photo by Stop Stopping STEVE from flickr

 世の中には、他者には見せないほうがいいものがある。例えば、「男の涙」。「男が泣いていいのは親が死んだ時だけ」という言葉を聞いたことがあるだろう。確かに、人前でしょっちゅう涙を見せるのは、男としてあまりみっともいいものではない。

 「通帳」も、極力見せないほうが無難だろう。貯め込んでいる人もすっからかんの人も、両者共に他者に見せるべきではない。カネ目当てに近寄ってくる女もいれば、すっからかんな貯蓄額を見た途端、脱ぎかけていたパンツをはき直す女もいるからだ。

 そして「オナニー」。「ひとりエッチ」という俗称もあるくらいなのだから、やはり人様に見せるべきものではないだろう。と思いきや、最近はだいぶ事情が変わってきているようだ。

 「オナクラ」という形態の風俗を聞いたことがあるだろうか? オナニークラブの略で、風俗嬢は男性客がオナニーするのをただ見るだけ。手コキやフェラチオなどのサービスを施すこともなければ、服を脱いで胸や下半身を見せることもない。もちろん、おさわりもNG。いったい何が楽しいのかと思いきや、一部のマニアに絶大な人気を博しているというから驚きである。

 オナクラが人気の理由には、在籍する風俗嬢たちの容姿レベルの高さが関係しているのだろう。「男性客のオナニーをただ見るだけ」なのだから、雇う側はそれなりに容姿レベルの高い女性ばかりを集めている。プレイのテクニックで勝負できないぶん、外見が超・重要になってくるわけだ。

 ほか、性感染症への感染確率が極めて低いという部分も人気の理由。肉体的接触を持たないぶん、安心して楽しめるというわけだ。

 また、オナクラに通う男性客たちは、「女性にオナニーを見せる」という独特のシチュエーションに萌えるとも証言する。性的サービスを施されるわけでもなく、女性のカラダに触れるわけでもなく、本来は1人で行なうべき行為を見せることで性的興奮が得られるというのだ。

 涙や通帳と同様にオナニーも、他者には見せるべきものではないかと思うのだが…。一般男性から意見を募ったところ、「確かにオナニーは秘め事のままにしておきたい」という声が挙がってきた。そのほとんどが、「自分のオナニーは絶対に見せたくない。見せるくらいなら女性にしてもらいたい。女性のオナニーは見たいが…」という内容である。「見せるくらいなら女性にしてもらいたい」と思うのは、ごく自然な思考回路といえるだろう。

 ところが、上記の「オナニーを見せたくない派」の数を、「オナニーを見せたい派」の数が圧倒的に上回る結果となったのだ(筆者調べ)。オナニーを見せたい男たちの事情は、実にバラエティ豊かだった。

 A氏(既婚・都内在住)は、妻にティッシュを見られるのが嫌という理由から、オナニーは専ら屋外で行なっていた。それがある時、たまたま通りすがりの女性に目撃されたのをきっかけに、「オナニーを見られる」という行為に興奮を抱くようになる。その後は、妻とのセックス時にオナニーを見せるようになったとのこと。妻の反応だが、意外にもノリノリでOKしてくれたとのこと。そう、一般女性たちにも意見を求めたところ、「男性のオナニーに興味津々」という声が非常に多かったのだ。

 B氏(30代・関西在住)の交際相手も、オナニーウォッチングに積極的とのこと。遠距離恋愛のカノジョに、冗談交じりで自分撮りのオナニー動画を送ったところ、定期的に送ってほしいとのリクエストが。数ヶ月に1回の逢瀬でも、セックス時にオナニー鑑賞タイムを設けるようになったという。

 意外な理由からオナニーを見せるようになったのがC氏(30代・首都圏在住)。カノジョが、交際当初は絶望的なほどセックスがヘタだったとのこと。特に酷いのが手コキ! 快感を得られるどころか、痛みを生じる場合もあった。そこで、正しい手コキをレクチャーすべく、オナニーを見せるようになったという経緯だ。

 いやはや、「オナニーは人様に見せるべきものではない」という考え方は、どうやら古くなってきているようだ。オナニー見せを楽しんでいる人々が少なからず存在するということは、それなりに魅力ある行為なのだろう。セックスのマンネリに悩む男性は、今夜あたり「俺のオナニー見る?」と提案してみては如何だろうか。
(文=菊池美佳子)

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