問われるフジテレビの企業体質 『ほこ×たて』出演者がヤラセを告発

1024_hokotate_main.jpg※イメージ画像:フジテレビ系『ほこ×たて』公式HPより

 20日に放送された人気バラエティ『ほこ×たて』(フジテレビ系)2時間スペシャルに出演した男性が、番組に「ヤラセ」があったと自身のブログで告発し、ネット上が騒然となっている。勝負に関するヤラセだけでなく、動物虐待にあたるような行為もあったとしており、この告発が事実であれば多方面からの批判は免れない状況だ。

 番組では「スナイパー軍団VSラジコン軍団」と題した企画に元・ラジコン世界王者の広坂正美氏(43)が出演。広坂氏らの操作するラジコンカー、ラジコンヘリ、ラジコンボートが、米国人スナイパーの狙撃から逃げ切れるかどうかを競う内容だった。放送では、ラジコンカーとヘリで広瀬氏は敗北したものの最後のボートで3連勝し、ラジコン軍団が接戦を制していた。

 ところが、広坂氏は「この内容は全くの作り物です」とブログで告発。実際は最初の対決で使ったのはラジコンボートであり、そこで3連勝したラジコン軍団が早々と勝利を確定。だが、それではラジコンカーとヘリの対決が見せられないため、番組側が対決の順番を入れ替えて勝負を継続させたと広坂氏は主張している。

 また、ラジコンカーの対決では2分一本勝負で最初の1分間は車体に弾を当てないという内々のルールがあったが、それを無視してスナイパーが車体を狙撃。被弾したバッテリーにトラブルが発生するなどし、ラジコンカーは修復できない状態になってしまった。結果、この勝負は中止になったはずだったが、実際の放送では映像をつなぎ合わせ、ラジコンカーがスナイパーに撃たれて負けたように“演出”されていたという。さらに、放送では広坂氏と男性スナイパーのクリス氏が対戦していたが、、実際の対戦相手は女性スナイパーのレアさんだったそうだ。

 バラエティーにおいては、ある程度の演出は必要不可欠だ。だが広坂氏の主張の通りであれば、これはあまりにも事実と異なり、出演者の名誉すらも傷つけるような内容になってしまっている。放送直前に制作会社の担当者から編集内容を知らされた広坂氏は「あまりにも事実を曲げられていた」と感じ、「もしこの内容で放送された際には、事実を発表します」と告げていたが、結果的に広坂氏の忠告は無視されてしまったようだ。

 広坂氏によると番組のヤラセはこれだけでなく、一昨年10月に鷹匠のタカと対決した際も実際はラジコンの圧勝だったにもかかわらず、「鷹がラジコンカーに慣れるまで練習させた上で再戦して欲しい」「鷹が追いかけて来るよう、ゆっくり走らせて欲しい」などとスタッフに要求されていたという。

 さらに昨年10月の猿との対決に関しても、実際は猿がラジコンを怖がって逃げてしまうため、釣り糸を猿の首に巻き付けてラジコンカーで引っ張り、あたかも猿がラジコンを追いかけているように見せるための細工をしていたと告発。これが事実ならば、悪質な動物虐待にあたる可能性もある。

 究極の対決を見せるという番組の主旨に賛同していたという広坂氏だが、たび重なるヤラセ行為に「昨今では余りにもひどいやらせ番組に成り下がってしまった」と怒りをあらわにしており、その失望が今回の告発につながったようだ。

 フジテレビといえば、今年8月に放送された『27時間テレビ』で加藤浩次(44)がAKB48の渡辺麻友(19)の頭部を蹴り、ジャイアントスイングで振り回してパンツをあらわにさせるなどした行為について、BPO(放送倫理・番組向上機構)が「顔を足で踏むことは人間の尊厳に関わる行為」と厳重注意したばかり。その倫理観が問われていた矢先に悪質なヤラセ行為を告発されるというお粗末さは、もはやフジの企業体質に問題があるとしか思えない。

「ヤラセ演出はフジテレビに限った問題ではありませんが、特にフジ系列は極端な編集をすることで有名ですね。バラエティー黄金期から続いている悪習ですが、ディレクターは内容さえ面白ければいいという考えですから、モラルは全く期待できません。それが本当に面白さにつながればまだしも、視聴者を置き去りにした低俗な内容になってしまうことも増えてきた。加藤の頭部蹴りや今回のヤラセなどが顕著な例といえるでしょう。フジは80年代の『楽しくなければテレビじゃない』のころの感覚がいまだに抜けず、時代とズレが生じてきている」(テレビ関係者)

 BPOは“バラエティーが嫌われる5つの瞬間”として「下ネタ」「イジメや差別」「内輪話や仲間内のバカ騒ぎ」「制作の手の内がバレバレのもの」「生きることの基本を粗末に扱うこと」を挙げてフジにダメ出しした。いずれも視聴者にとってはウンザリの内容だが、今後はこれに「悪質なヤラセ」を加えなくてはいけないかも…?
(文=佐藤勇馬/Yellow Tear Drops

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