2012年の『梅ちゃん先生』、今年の『あまちゃん』と、ここのところヒットが続いているNHKの朝の連続テレビ小説。子どもからお年寄りまでを対象にしている同枠だけに、その主演女優ともなれば、『梅ちゃん先生』に堀北真希(25)が、『あまちゃん』に能年玲奈(20)がキャスティングされたように、「清純派イメージ」がその人選の要となる。
しかし、連続テレビ小説でのブレイク後に、そのイメージをガラッと覆してしまう例も少なくない。2002年に『まんてん』を主演した宮地真緒(29)は、2010年にヌード写真集を発売。2011年の『カーネーション』に主演した尾野真千子(31)も、今年のドラマ『夫婦善哉』(NHK)で、NHKとしてはギリギリの濡れ場に挑戦するなどしている。
中でも数々の発言で耳目を集めている元ヒロインといえば、遠野なぎこ(33)だ。1999年の朝の連続テレビ小説『すずらん』で主役の常盤萌を演じ、その後も『冬の輪舞』(フジテレビ系)などのヒット作に恵まれたものの、2009年に結婚、約2ヶ月後に「スピード離婚」し世間を騒がせることとなる。離婚後は数々のトーク番組に出演、豊富な男性遍歴や、「7股交際」の事実などを笑いながら話し、「ヤリマンキャラ」でバラエティに進出した。
そんな遠野が、今月10日深夜の『アウト×デラックス』(フジテレビ系)に出演。SEXの話題でも頬を赤らめることのない遠野だが、顔面を筆に見立てたアートに挑戦する企画では、顔じゅうに赤い絵の具を塗りたくり、文字通りの「赤面」を見せた。SEXについて話すでもなく、自叙伝の『一度も愛してくれなかった母へ、一度も愛せなかった男たちへ』(ブックマン社)に書いたような赤裸々な身の上(母親からの虐待など)暴露でもない、これではまるで「ヨゴレ芸人」がするような仕事である。
離婚当時には「ヤリマンキャラ」が比較的好感をもって受け入れられたためか、「7股」暴露以降も古巣・NHKでのドラマにもコンスタントに出演するなど、その後の芸能活動は順調。とはいえ、今回の『アウト×デラックス』ではそういったことには一切触れず。遠野の「ヤリマンキャラ」は飽きられているのか。
「芸能人が突然の暴露トークに及ぶ場合、いわゆる『暴露本』など、自著の印税目当てであることが少なくないですが、今年3月の自叙伝出版でそれは一段落しましたからね。あの暴露の後では、女性遍歴を隠しておきたい男性は遠野に近づかないでしょうし、そうなるとご自慢の『オトコ歴』も打ち止めになっちゃう。そうなると話題性もないので、それこそもっと『ヨゴレ』な仕事でしか、バラエティには出演できなくなるかもしれません」(芸能ライター)
ところで遠野といえば、今年6月3日に開設したブログ「Nagiko Tono Official Blog」も話題だ。ここでは、一般の読者から頻繁に届く悩み相談のメールに、遠野本人と思われる筆致で、丁寧な返事が返されており、とても単なる「芸能人ブログ」とは思えない。最新の10月10日の投稿では、「過食嘔吐を繰り返し、罪悪感に苛まれる日々」と自身の体調について述べたうえで、躁うつ病やパニック障害に悩む女性からの相談に、「もうこれ以上ボロボロにならなくていいんだよ、あなたも私も」などとアドバイスしている。
これについて、都内の大学院で電子メールを利用した心理カウンセリングについて研究している女性は話す。
「電子メールを利用したカウンセリングは、精神科や心療内科への通院よりもハードルが低いこともあって、現在いくつかの大学や機関で研究されており、ブログや掲示板などを利用するアプローチも提案されています。なので、遠野さんのやっている活動も、一種の心理支援だと言えると思います。本来、臨床心理士として活動するためにはしかるべき資格が必要なのですが、たとえば『心のアドバイザー』などのあいまいな肩書で営利活動をすることに制限はありません」
また、読者からの悩み相談に丁寧に答える遠野の姿勢については、「学会などで認められた心理支援の手法に100%則ったものではないが、自助グループとしての意義は深いと思う」との意見も得られた。とはいえやはり「心理カウンセラー」ではないため、遠野のブログにあらわれる表現には、「悪魔に与えられた憎たらしい涙」や「神様からの贈り物」など、ポエム的なものも。そうなると、バラエティから「スピリチュアル」への転身も考えられるが…。
「奔放な男性遍歴、そして女性の悩みに答えて人気、となると、もう瀬戸内寂聴(91)ですよね(笑)。美輪明宏(78)なんかもそうですが、年齢を重ねても仕事が減らないのがスピリチュアルの強みでもありますから、これは案外、遠野の将来として有力かもしれません」(前出、芸能ライター)
『アウト×デラックス』では、MCであるナインティナイン・矢部から「遠野なぎこ、どこへ行く」とのコメントもついた彼女の今後だが、同じ悩みを持つ女性から大きく共感され、またポエム的な表現も巧みに使える遠野だけに、まさかの「教祖様」というコースもありえる。CDやDVDの「法話集」が続々刊行される瀬戸内寂聴よろしく「スピリチュアル本」でヒットを飛ばせば、その印税は自叙伝をも上回るかもしれない。
(文=是枝 純)