宇多田ヒカル(30)の母親・藤圭子さん(享年62)が22日に飛び降り自殺した事件が、思わぬ泥沼の争いに発展している。藤さんの元夫で音楽プロデューサーの宇多田照實氏(65)に対し、藤さんの実兄で元歌手の藤三郎氏(63)が「家族をバラバラにした」「遺体に面会させてもらえない」などと不信感をぶちまけているのだ。
藤さんの突然の死から6日目の27日、海外で訃報を受けたという宇多田は東京・目黒の葬儀場に到着。照實氏とともに母親の遺体と対面し、約40分間の別れの時を過ごした。出棺が済むと藤さんの遺体は品川区内の斎場に移され、そこで荼毘に付された。最後に親子3人の対面が実現した形となったが、藤さんの肉親である三郎氏の姿はいずれの場所にもなかった。
三郎氏は妹の遺体と面会できなかった理由について、発売中の「週刊文春」(文藝春秋)で告白。同記事によると、自殺の報を受けて翌日に遺体が安置されている新宿署に駆け付けたが、警察は遺体との面会を拒否。この時、すでに藤さんと離婚して他人のはずの照實氏がナゼか遺体の身元引受人となってることが判明した。三郎氏は仕方なく、照實氏に電話をくれるようにと警察に頼んだが、全く連絡がなかったという。
実の妹の死に際して蚊帳の外にされてしまった三郎氏だが、通夜も告別式もなく遺骨がどこに行くのかも分からないという報道を目にして居ても立ってもいられなくなり「ひと目、妹に会いたい」と葬儀場のスタッフに連絡。だが、返事は「照實氏に確認したところ、照實氏はヒカルさんの代理人。ヒカルさんの意向で全ての方との面会はご遠慮するとのことです」というものだった。
これについて、三郎氏は「すべては照實氏の意向だと思えます」と判断。照實氏が藤さんの親族を遠ざけようとしているとして「許せないと思う気持ちが毎日のように蓄積するばかり」と胸中を明かしている。藤さんの生前の意向で通夜・告別式がないという報道についても、遺書が見つかっていないのに本人の意向が分かるのかと疑念を抱いているようだ。
この確執には、宇多田がブレイクが大きく関係しているという。三郎氏によると、宇多田のデビュー前は藤さんの浪費癖と照實氏の借金で宇多田家は火の車だったようだ。照實氏が藤さんの母親に金を無心することもあり、三郎氏が見かねて藤さんに現金を渡したこともあったという。
その後、藤さんの必死の売り込みもあって宇多田はデビュー直後から大ブレイク。宇多田が巨万の富を生み出すようになると、三郎氏いわく「何をやってるのかよく分からない」状態だった照實氏が音楽プロデューサーを名乗り、娘の仕事に乗じて大金を稼ぐようになった。高級車を乗り回すなど生活が一変した照實氏は、かつて世話になった藤さんの親族たちと距離を置くようになったという。
以降、藤さんも宇多田も親族とは会わないようになり、連絡も照實氏によってシャットアウトされるようになった。これについて三郎氏は、照實氏に「宇多田の利権」を独占したいという気持ちがあったのではないかと推測している。一卵性母子のように絆が深かった藤さんと母親の仲も完全に引き裂かれ、三郎氏は「照實氏によって私たちの家族はバラバラにされた」と怒りをあらわにしている。
三郎氏は藤さんの遺骨を母親と同じ墓に入れてあげたいと希望し、「宇多田ヒカルの母親」ではなく「歌手・藤圭子」を何十年も応援してきた後援会のために告別式も開きたいと望んでいる。「このままでは圭子は成仏できません」とまで語った三郎氏だが、照實氏からの接触はいまだにないようだ。
離婚した元夫がすべてを仕切り、親族が遺体と対面することすら許されないという事態は確かに異常といえるだろう。だが、母親の死で憔悴した宇多田のためにも余計な騒ぎは起こしてほしくないという周囲の声もある。果たして、この争いは今後も続いてくのだろうか。
(文=佐藤勇馬/Yellow Tear Drops)