目標は園遊会&人間国宝! 女優5人の異色コントユニット『教科書ファイブン』

fiven0711.jpgマリー・アントワネット:リサリーサ/モナリザ:太石好美/クレオパトラ:加藤ちえり/ジャンヌ・ダルク:あらいまい/紫式部:南みず妃

 ど派手な衣装に身を包んだ5人の女性。一見するとアニメのコスプレイヤーのようだが、1人は額縁から顔を覗かせ、微笑んでいる。名前を尋ねてみると「モナリザです」とのこと。なるほど。ほかの4人を見渡すと、「マリー・アントワネットよ」「ジャンヌ・ダルク」「クレオパトラ」「紫式部です」どうやらこの5人は歴史上の人物(?)に扮しているらしい。

 彼女たちの正体は、それぞれ舞台などで活躍する女優。今年の5月、教科書に載っている歴史上の人物というのをコンセプトに、コントユニット『教科書ファイブン』を結成し、ただいまキングオブコント2013に向けて稽古の真っ最中だという。女優によるコント集団というのも珍しい。何だか不思議な興味の沸いた記者はさっそく彼女たちの稽古場を直撃した。

──まずはみなさんのことを知らない読者も多いと思いますので簡単に自己紹介お願いします。

 

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モナリザ 「リーダーの太石好美です。演劇ユニットの主宰をしたりして、女優として活動しています」

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クレオパトラ 加藤ちえりです。舞台を中心に女優活動しています」

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マリー・アントワネット リサリーサです。舞台女優として活動しています」

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紫式部 南みず妃です」

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ジャンヌ・ダルク 「絶対に売れます! あらいまいです。どうぞよろしくお願いします!」

 
──経歴も年齢も違う5人がなんでユニットを結成することになったんですか?

モナリザ 「もっと何か面白いことはできないかなぁ~って、最初はそんな軽い気持ちからなんです。そんな話を昔から知り合いだったクレオパトラや紫式部にしたら、それじゃ何かやってみようってなって。それからメンバーを集めて、今の5人になったんです」

──みんな女優さんなのに、なんでコント集団なんですか?

モナリザ 「実はそれもあまり深い意味はないんです。面白いことに挑戦したいっていう気持ちが1番ですから。コントに限らず、歌とか踊りとか、いろんなことをやっていければと思ってます」

クレオパトラ 「エンターテイメント集団というほうが合っているかもしれませんね」

──なるほど。それぞれの女優活動にプラスになればという感じなんでしょうかね。

モナリザ 「そうですね。こうした活動を通して、みんなが女優としてレベルアップするのが大切だと思います。なかなか女優業だけで食べていくのは難しいのが現状ですけど、教科書ファイブンをきっかけに、そうした現状を変えられたら嬉しいですね」

ジャンヌ 「今のところ女優として活動すればするほどマイナスですから。早く売れて真実(ほんもの)の女優になって、たくさんの人を元気にしてあげられる人になりたいです」

──おお! さすがジャンヌ・ダルクは勇ましいですね。やっぱり他のメンバーも、売れたいという思いが強いんでしょうか?

モナリザ 「私の場合は、売れたいというより、目標がどんどん変わってしまうぐらい、常に新しい事に挑戦して進化していきたいです。最終的に園遊会に招待されるのが夢ですね」

クレオパトラ 「私は生涯女優として現役でいることが目標です。その中で、新しいこと、面白いこと、楽しいことをどんどんやっていければと思います」

マリー 「“良い舞台を創り続けること”ですね。私は、お客さんというのは作品に付くものだと思うんです。その時の脚本と役者と演出家とクリエイティブ・チームが出会った作品は、その瞬間にしか生まれません。それこそが舞台芸術の素晴らしさだと思うのです。女優として、そうした作品に関わっていけたら、そんなに幸せなことはないです。そしていつか100歳くらいで国宝になれれば、悔いなく死ねますね」

紫式部 「生きた証を残すことです」

──何とも力強い言葉ですね。目標はそれぞれのようですが、女優として生きていく覚悟というものを感じますよ。教科書ファイブンという活動も、その一環になるわけですね。

モナリザ 「そうですね。それぞれの女優業というものがベースにありますから、誰かが抜けても、またそこに違う人を入れてという形でやっていけたらと思っています」

クレオパトラ 「今はこの5人できっちりキャラクターを設定してますけど、ステージによっては、どんどんいろんなキャラクターに挑戦していきたいですね」

──確かに、教科書というテーマであれば、幅も広いですし、何より具体的な設定を作り上げやすいですね。ところで、ネタの台本や演出っていうのは、どなたがされているのですか?

モナリザ 「今回のキングオブコントに向けたネタというのは、知り合いの芸人さんにアドバイスをいただきました」

クレオパトラ 「見ての通り女だけのユニットなので、どうしても笑いに偏りが出てしまうんですよね。稽古中にすっごく盛り上がって、みんなで面白い~なんて騒いだところが、後で見てもらうと、まったく伝わらないなんていうこともありますから。やはり客観的に見てもらうというのが大切だと思います」

──今後もそれは変わらず?

モナリザ 「いえ。それは未定です。とりあえず教科書ファイブンの第一歩としてキングオブコントというものに目標を設定し、そのためのネタを作ったというのが現状です。その後は、ネットでの活動や舞台でのライブなど、いろんなステージでの展開を目指していますので、その都度、作品の内容は変わっていくと思います」

マリー 「教科書というコンセプトなので、小学生とかを相手に作品を披露するというのもステキかもしれませんね」

ジャンヌ 「見てもらう人に合わせて、作品の内容を変えられるのが、教科書ファイブンの良いところだと思います。キャラクターを変えれば、ダンスや劇というのも出来ますから」

──なるほど。展開としてはいろいろ考えているわけですね。

モナリザ 「とにかくいろんなことに挑戦して面白いことをやっていきたいですね。それをするためにこの教科書ファイブンを作ったわけですから」

──どんどん展開が広がれば衣装というのも大変になっていきますね。

マリー 「今回の衣装は、海外のコスチュームサイトから購入したものなんですよ。それに手を加えて、それぞれ作りました。金額的に1番かかっているのは、紫式部の着物ですかね」

クレオパトラ 「ボタンを変えたり、けっこう細かいところまでこだわっているんですよ」

──コントで、そこまで衣装に力を入れるというのも珍しいですよね。

モナリザ 「そうかもしれませんね。でも、それだけインパクトがあると思います」

──確かに。他の芸人さんのコントで、ここまで衣装にこだわっているものはあまり見かけないですね。それにしても…紫式部さんは無口ですね…?

マリー 「普段からそうなんですよ(笑)」

クレオパトラ 「寡黙なキャラなんです」

──では、そんな紫式部さんから一言お願いしたいのですが?

紫式部 「あ、はい…。では、教科書ファイブンよろしくお願いします…」

──あ、ありがとうございます。何だか〆の挨拶のようですね。ほかにメッセージなどある方はいらっしゃいますか?

モナリザ 「今日はありがとうございます。今後とも教科書ファイブンよろしくお願いします!」

 通常、コントなどでは観客の想像力を刺激するためや要らぬ先入観を防ぐため、演者は極力当たり障りのない衣装を身にまとう。あまりに派手なコスチュームでは、それこそ出落ちという事態を招きかねないからだ。しかし、そんな常識など彼女たちの前では関係ない。「やっぱり女優なので、衣装にはどうしてもこだわっちゃうんです」と彼女たちは口を揃えて言う。キングオブコントに挑戦するコントユニットとはいえ、やはり彼女たちは生粋の女優なのだ。

 お笑いの世界に身を投じ、すべてをキングオブコントにかけている芸人が多い中で、彼女たちのような存在は、それこそ疎ましいものかもしれない。しかし、人前で表現したいという気持ちはどちらも同じ。いち観客からすれば、コントというのは、誰が演じようが、ただ単純に面白ければ満足なものだ。キングオブコントの予選前なので、詳しい言及はできないが、衣装をバッチリ決め込んで、キャラクターを完全に構築している彼女たちのネタは、養成所上がりの芸人では真似できない、まさに女優によるものだった。その点がどう評価されるかはわからないが、未来を夢見る芸人たちの中で、教科書ファイブンの5人の女優たちには大いに暴れてもらいたい。
(文=峯尾/http://mineoneo.exblog.jp/
著書『松本人志は夏目漱石である!』(宝島社新書)

『教科書ファイブン』
■教科書ファイブン公式Facebookページhttp://www.facebook.com/kyokashofiven

【メンバー】
■モナリザ/太石好美/http://ameblo.jp/marugan/
■クレオパトラ/加藤ちえり/http://ameblo.jp/chieri-kato/
■マリー・アントワネット/リサリーサ/http://ameblo.jp/lisanosuke/
■紫式部/南みず妃/http://ameblo.jp/mina-mizuki/
ジャンヌ・ダルク/あらいまい/http://ameblo.jp/m-1005/

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