27日に放送された『とんねるずのみなさんのおかげでしたSP』(フジテレビ系)で、人気企画「全落シリーズ」のマイナーチェンジ版「水落オープン」が開催された。2011年以来の放送となった落とし穴ドッキリは、ネット上でも話題を集め、2ちゃんねるの番組専用スレッドも大盛り上がり。特に、ラストを飾った錦野旦(64)のお決まりパターンには、とかくテレビバラエティには冷たい視線を送りがちなネットユーザーたちも、「腹よじれる」「クソワロタw」と大満足のコメントを寄せていた。
「番組の中で石橋さんも言っていましたが、亀山千広新社長を迎えたばかりのフジテレビにとって、もっとも懸念されるのは、事故などの不祥事です。特にバラエティでの突発的な事故というのは、制作サイドの落ち度としか言われませんからね。そのため、今回の企画では、ただの落とし穴から水の中に落ちるというものにしたのでしょう。番組を見ればよくわかりますが、落とし穴の入口に使われた発泡スチロールの量なども以前に比べてかなり多いものになっていますよね。それだけ安全性を考慮しているのだと思います。池に落とすというのならケガの心配もありませんしね」(業界関係者)
2012年2月には、収録中に、ずんのやす(43)が腰の骨を折る大怪我をしたとして非難を浴びた同番組。ほかにも昨年は芸人たちの収録中事故が相次ぎ、番組サイドの管理状況が問題になった。落とし穴という古典的なドッキリをするにも、前出の関係者が指摘するように、安全に安全を重ねなければならないのが現状なのだろう。
今回の水落に初参戦したスギちゃん(39)も、昨年9月にはテレビ朝日系の番組収録中に全治3ヶ月のケガを負った経験を持つ1人。そして、そんな経験があるからだろうか、スタッフに扮した木梨憲武(51)に棒で殴られ池に落とされたスギちゃんは、「いってーなー!」「何すんだよ」とマジギレの表情。もちろん、相手がすぐに木梨だとわかると表情は一変し、「もぉ何なんですかー」といつものスギちゃんに戻ったが、水に落とされた直後は驚きより怒りを滲ませていたように見える。棒で殴られて、水に落とされたのだから当たり前といえば当たり前だが、芸人のそんな表情は見たくないもの。逆にいえば、明石家さんま(57)は路上でいきなり一般人に尻を蹴られても、「ナイスキック!」と笑顔で返すという逸話があるほど、常日ごろからリアクションに備えているという。さんまとスギちゃんを比べるのは酷かもしれないが、芸人である以上、そうした覚悟はぜひ見習うべきだろう。
今回、落とし穴にはまってあからさまに不機嫌な表情を見せたのは錦野旦だけ。芸人でもなく、これまでにも何度も落とされている彼にしたら、怒るのは当然というもの。もちろん、錦野が怒るというのも、番組サイドの思惑通りだし、まるで台本があったかのような見事な落ちっぷりとキレ具合は、見事に視聴者の期待に応えていた。しかし、今回が初参加となったスギちゃんには、まだまだ錦野のような視聴者からの期待というものがない。この日の放送では、若干のキレキャラを覗かせたスギちゃんだったが、すでにそれは錦野が担当している。加えて、ワイルドでありながら人柄の良さを滲ませるというギャップが人気の彼にしてみれば、キレキャラは似つかわしくない。やはり何をされても笑顔でいるというようなキャラがスギちゃんには合っている気がする。水の中に落とされながら、笑顔を絶やさないスギちゃんというのはきっと面白いに違いない。
(文=峯尾/http://mineoneo.exblog.jp/)
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