いまだ“アダルトグッズ”の魅力を知らない男性諸氏に捧ぐ！ 新しい快楽を知り、“性の賢者”となるための冒険物語──。
＜クエストLV.1＞
ある日、28歳の童貞ディータのもとを、見知らぬ女性が訪れる。うさぎと名乗るその女性は、戸惑う彼にこう告げた。「あなたは選ばれし童貞。今すぐ童貞戦士となって旅に出よ。まずはこの引き出しを開けてごらんなさい」。訝しみながらも開けると、中から「セブンティーン」という3つのオナホールが！ こうしてディータの旅は幕を開けたのであった。
中村うさぎ（以下、中村） 童貞戦士ディータよ、目覚めなさい。
ディータ（以下、同） え？ もう起きてますけど……。
中村 ドラクエ調なんだから、そこは「ん～ムニャムニャ」とか言って合わせろよ！ この連載はですね、そんな空気の読めない童貞歴28年のディータくんに、毎回オナホールやバイブなどのアダルトアイテムで鍛練してもらい、ゆくゆくはアダルトアイテムを使いこなす立派な男性になっていただくのが目的なんですよ。
ディータ え～！ そんなことより早く童貞捨てたいんですが……。
中村 そう思って捨てられる人なら、もうとっくに捨ててますよ。捨てられないまま28年も経過しちゃったってことは、あなたはまだレベルが足りないんです。童貞戦士からジョブチェンジしたいなら、まずはレベルを上げよ――というわけで、第1回目のアダルトアイテムはこちら、オナホールの「セブンティーン」シリーズ。冒頭からこんなありがたいアイテムが3つももらえるなんて、ディータくんは恵まれてるね！
ディータ はい！ 個人的には「ボルドー」が一番良かったです。
中村 ボルドーって……ああ、一番新しいやつか。商品名だとちょっとわかりにくいから、それぞれ名前つけましょう。ボルドーは3代目だから……佳子ってのはどう？ 2代目のエヴォリューションは幸代で、初代セブンティーンは志麻。
ディータ それ、『極妻』の歴代主演女優の名前ですよね？ セブンティーンな感じが全然しないんですけど……。えーと、佳子の良かったところは、内部の素材がねっとりしていて、入れるとまとわりついてくる触感がすごく気持ちいいんです。外部のふわふわした素材も触り心地抜群で、250グラムという重さもちょうどいい感じでした。幸代も良かったんですけど、肉厚で重さが340グラムあるぶん、手がちょっと疲れちゃって……。
中村 「肉厚で重たいほうが、よりリアルな使用感を味わえていい」って人も多いらしいけど、ディータくんはダメだったんだ。まぁそこは人それぞれ好みがあるからね。志麻はどうだったの？
ディータ 志麻は入り口がきつかったです。すんなり入らなくて、なんて俺のはデカいのかと。
中村 そういう意味のない自慢はやめてください。ったく、これだから童貞は……。志麻はほかの2つと比べて見るからに素材が異質だから、それで入れにくかっただけじゃない？
ディータ あ、そうかもしれないです。いろいろ言いましたけど、志麻も幸代も佳子も、みーんな良かったですよ。どれも2つの素材を使った二重構造になっていて、手で締めつけなくても適度な密着感があって、女性のアソコはこんなに気持ちいいのかと……。もう奥までグイグイ押しつけちゃいました！
中村 水を差すようで悪いんだけど、ディータくんのために言っておきます。女性のアソコで得られる快感は、残念ながらセブンティーン以下ですよ。どんな女性だって、それこそ17歳の娘だって、セブンティーンには敵わない。女性の膣はそこまで密着感もないし、奥までグイグイ押しつけたりしたら痛がるし。その代わり、相手と精神的にも繋がれたような気分を味わえたり、セックスならではの快感もあるけどね。
ディータ はぁ。そういうものなんですか。でも、確かに佳子を洗っている時、「女性のアソコは、こんな風に洗ったり、陰干しする必要はないんだろうな」と思ったら、急に気持ちが萎えてきて……。改めて「セックスがしたい！」って思いました。
中村 事後に気持ちが萎えるのは、セックスでも同じですよ。とくに男性は終わったらさっさと寝ちゃったり、テレビ点けて野球中継を見始めたり、俗に言う”賢者タイム”に突入しがち。一方で、女性は穏やかにイチャイチャしたい”僧侶タイム”に入っていたりするから、男にそういう態度を取られると、非常に腹立たしくなるんだよね。
ディータ なるほど。事後のアフターケアも大事なんですね。
中村 その通り。だから、事後に佳子を洗っている自分を恥じる必要なんてないですよ。むしろ、”事後も佳子に優しい俺”を誇りに思うべき！
デ イエスマム！ これからも優しく丁寧に洗って行きたいと思います。1個5,250円で繰り返し使えるから、風俗に行くより断然安いですし。
中村 大阪市長の橋下徹さんも沖縄米軍司令官に「風俗業を活用してほしい」と勧めるんじゃなくて、セブンティーンを差し入れしたら良かったのにね。「ジャパニーズテクノロジー！」とか言って。そしたらバッシングされることもなかっただろうに。
ディータ いや、それはどうかと……。でも、米軍基地に差し入れするのはアリかもしれないです。米兵のみなさんに喜んでもらえるかも。
中村 「ギブミーチョコレート」ならぬ「ギブミーセブンティーン」みたいな感じで。よし、今度差し入れに行きましょう！
（絵＝川崎タカオ／構成＝アボンヌ安田）
＜アダルト妖精トイズくんの今月のアイテム紹介＞
「セブンティーン」シリーズ
発売から8年目を迎えた大ヒット商品。ボールペンのグリップ部分の素材を改良し、さらにソフトに仕上げることで挿入時の感触をよりリアルに再現したオナホールだ。ラバー素材で伸縮自由なため、男性器の平均の長さをもとに制作されている。また、シリーズ第2弾の「セブンティーン エヴォリューション」は重量感を、第3弾の「セブンティーン ボルドー」ではその内部に丸みのある凹凸を加える（すべて手作業！）ことでより刺激をプラスした。また、Amazonで「セブンティーン」と検索すると、女性誌「SEVENTEEN」（集英社）よりも上位に来る人気っぷり。
価格：各5250円
発売元：トイズハート
公式HP：〈http://www.toysheart.co.jp/〉
中村うさぎ
1958年、福岡県生まれ。OL、コピーライターを経て、ライトノベル『ゴクドーくん漫遊記』（角川書店）で作家デビュー。壮絶な買い物依存症の日々を赤裸々に描いた『ショッピングの女王』（文藝春秋）でブレイクし、エッセイ、小説、ルポルタージュなど、多方面で活躍中。近著に『小説 朗読少女 ようこそ禁断の図書館へ』（オトバンク）、『脳はこんなに悩ましい』（新潮社）など。
