寝だめ・食いだめは不可能だが、セックスのヤリだめは…

yaridame0412.jpg※イメージ画像 photo by Shelbyyy1991 from flickr

 どのような職種でも、年度末及び年度始めは忙しいものだ。帰宅が終電ギリギリになり、にもかかわらず翌朝も定時出社。閑散期には、昼休憩やコーヒーブレイクをしっかりとる余裕があった人も、繁忙期はそうもいかない。こういった状況に陥ると、「寝だめ・食いだめが出来ればどんなにラクなことか」という思いが浮かぶこともある。

 土日に寝だめをし、平日は終電帰宅の早朝出社でも平気な身体。時間がある時に食いだめをすれば、しばらくは空腹が気にならない身体。もしそれが可能なら、仕事の効率はどんなに上がることか。日本全体の景気も上がるような気もする。しかし残念ながら、人間の身体は寝だめ・食いだめが出来ない構造になっている。土日に、「来週ぶんまで寝ておくか!」と意気込んで1日中寝て過ごしても、むしろ体内時計のリズムが狂うのか、妙なけだるさが沸いたりする。「今日は来客が続くから、午前中のうちに食いだめしておくか!」というのも無理な話で、夕方くらいになって空腹感に襲われることもしょっちゅうだ。

 では、セックスのヤリだめはどうだろう? 性欲は、睡眠欲や食欲と並んで、人間の三大欲求の1つとされている。「行きつけの風俗店が来月から値上げするらしいから、通える頻度が減る前に、今のうちにヤリだめしておこう!」とか、「セフレ女性が婚活を開始したから、結婚が決まって自分との肉体関係を解消したいと言い出す前にヤリだめしておこう!」という選択肢は可能なのだろうか? 

 一般男性から意見を募ったところ、ほとんどの人が「セックスのヤリだめは不可能である」と答えた。理由は、「体力的に無理」とのこと。確かに、男のセックスは全身運動である。俗説では、「100メートル全力疾走した時と同じ疲労感」とも言われているほどだ。また、体力的な疲労とは別に、精子の蓄えも関係してくる。一度射精すると、当然だが精子が減り、新たに精子を製造して精嚢を満タンにするには時間がかかるもの。「ため」の時点で既に不可能ということになる。

 実際に、ヤリだめに挑んだ男性のエピソードをご紹介しよう。きっかけは、転勤による遠距離恋愛だった。2ヶ月の猶予があったので、毎日とはいかなくても、体力の許す限りセックスに励んだが、転勤して1週間も経たないうちにセックス欲が沸き上がり、新天地の風俗店に駆け込んだという。猶予期間2カ月の集中的なセックスが、「セックスをする日常が当たり前」と身体にインプットさせてしまったのだろう。

 それにしても、ヤリだめが不可能でも、ヤラないだめは意外と可能なのが面白いところ。しばらくヤラない期間が続くと、「セックスをしない日常が当たり前」と身体にインプットされてしまうようだ。何だって、使わなければ感覚が鈍るもの。ハサミだって刀だって、しばらく使わないでいると切れ味が悪くなる。道具だけではない。海外生活の長かった友人いわく、「英語も、使わなければ感覚が鈍る」とのこと。それらと同様に、股間が「射精予定のない精子を作るのが虚しくなってきた」「ペニスは性器ではなく排泄器の役割がメインだ」とジャッジするのもやむを得ないだろう。

 ところで、女性陣はどうなのだろうか? 女性も、男性同様に、セックスのヤリだめは出来ない身体なのか? 女性の、セックスにおける運動量は、男性ほどハードではない。むろん、中には終始騎乗位でアグレッシブなセックスをする女性もいるだろうが、極論を言えば、大の字で寝っ転がって股を開いているだけでもセックスは出来る。男のように、製造事情とも無縁なはず。

 一般女性の声を集めてみると、意見は真っ二つに分かれた。「心身共に満足できるセックス後は、数カ月なくても平気」というタイプと、「一回ヤると、身体に火がついてしまう」というタイプ。筆者の見解では、前者は恋愛体質タイプ、後者はヤリマンタイプが多いように見受けられた。彼氏が長期間の海外出張でも、出国直前に濃厚なセックスが出来れば浮気しようという気は起きない前者と、セックス内容に関わらず、身体に火がつくとペニスを求めてしまう前者。

 飲み会や合コンなどの即ハメ要員には一見後者が適しているとも思われるが、体に火がついたことによる定期的な逢瀬を求められるのが面倒な人は、前者を選ぶとよいだろう。きっちり満足させることが出来れば、1回きりのドライな関係で終われるはずだ。
(文=菊池 美佳子)

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