「AKB1/149 恋愛総選挙」』AKS
3月14日に放送された『ダウンタウンDX』(日本テレビ系)で、元AKB48の増田有華が、数年前に何者かによる不法侵入被害に会っていたことを告白した。ある日突然、見知らぬ相手から送られてきたメールに、自分の部屋の室内が写った画像が添付されていたという増田。調べてみると、勝手に彼女の部屋に侵入したであろうその人物にたまたまパスポート用に撮っていた証明写真を盗まれていたことがわかったという。幸い盗まれたのは写真だけで、しかも犯人が自分の名前をメールアドレスにしていたため、すぐに特定されて捕まったとのことだが、さぞかしぞっとしたことだろう。
数年前ということはAKB在籍時の事件のはずだが、現在に至るまでこの事件は公にはなっていなかった。当然、「他の一人暮らしをしているメンバーは大丈夫なのか」と心配する声も少なくない。
AKBに関する事件では2009年、メンバーらの自宅住所を調べ、勝手に虚偽の転居届を提出し、メンバーあての郵便物約200通を自宅に転送させる手口で盗んでいたストーカーの事件などもあり、「会いに行けるアイドル」として売り出したがゆえのファンとの距離の近さが、逆に一部の粘着質な異常なファンの暴走を産みやすいという副作用をもっている。ネットでは「そういう商売と承知して入ってきたんだから」「ネタだろう」などの無責任な発言も目立つが、10代の若い女性にしてみれば、笑い話では済まない。恐怖やストレスを感じているメンバーは今もいるのではないだろうか。
彼女たちを悩ますのは、粘着ヲタ、アンチや度を超えた迷惑ファンばかりではない。昨秋から姉妹グループを含めた卒業ラッシュが続く中、Google+やTwitter、あるいは番組などで、悩みを明かしたり鬱投稿をするメンバーが急増している。3月だけでも、チームBのキャプテン・梅田彩佳が「横で一緒に歩いている人を傷つけた」「掌から大事なものをこぼしている」と、メンバー内にトラブルがあったかのような投稿をして物議をかもし、HKT48に移籍した多田愛佳も、「上から目線で決めつける“大人”」への不快感をむき出しにした投稿をして、運営なりマネジャーなりとトラブルになっている事情をうかがわせている。多田の場合は、別のメンバーの発言に対する大人たちの反応に怒りを覚えているようだが、少なくとも周囲のスタッフに不信感を抱いていることは間違いなさそうだ。
AKBも気がつけば発足から7年。小中学生だったメンバーも大人になり、人間関係や自分の将来の選択などの悩みも増え、同時に今まで見えなかったスタッフたちの矛盾を見つけ、批判精神が芽生えてきてもおかしくない頃ではある。マスコミでは彼女たちが課せられた“恋愛禁止条例”ばかりが話題になるが、思春期ならではの様々な悩みに加え、グループ内での自立と協調のバランスの取り方など、大所帯アイドルならではの問題にもぶちあたる彼女たちのストレスは、ファンが想像する以上に限界に来ているのかもしれない。
『ダウンタウンDX』で久しぶりに地上波のゴールデン番組に出演した増田は、顔がキュッと引き締まり、髪型も似合っていてとても綺麗になったと地下掲示板にスレッドが立てられるほど垢抜けていた。ソフトバンクや15日から放送開始された丸美屋「麻婆豆腐の素」CMなどに出演してテレビ露出の増えている前田敦子も、卒業を宣言したあたりから肩の力が抜けて綺麗になったと評判で、特に丸美屋CMの彼女は「弾けるような笑顔がAKB時代よりも可愛い」「美しくなった」と話題になっている。かたや、舞台で活躍している米沢瑠美も、AKB時代の可愛らしい雰囲気から、いつのまにか大人の色気を醸し出す綺麗系の女優になった。
まるで「AKBを卒業すると綺麗になる法則」でもあるかのような彼女たちの変貌を見ていると、現在もAKBに残って憔悴している高橋みなみや梅田彩佳が気の毒になる。いつまでも好きなメンバーに握手ができるアイドルでいてほしいと思う反面、卒業してストレスから解放された笑顔を見たいという気持ちの狭間で、複雑な心境になってしまうファンもいるのではないだろうか。
(文=潜水亭沈没)