脱テレビ!? ネットに群がる売れっ子芸人たち

※イメージ画像:『ゼロテレビ』公式HPより

 7日、ナインティナインの岡村隆史(42)が3月27日から放送を開始するネット配信限定のテレビ局『ゼロテレビ』の立ち上げを表明した。スポンサーも番組も何も決まってない状態からスタートさせて、さまざまなコンテンツを発信しようという主旨のゼロテレビ。その先頭に立つことになった岡村は、「今はバラエティ番組がやりづらい。ゼロテレビでは、クレームを受ける人が僕しかいない(笑)。新感覚のバラエティをポーンと出していきたい」と抱負を述べ、「テレビの原点に戻りたい。もう1度テレビにドキドキワクワクな感じを」とゼロテレビへの熱意を語る。

 「全部自分でやりつつ、時間も自由にできる。可能性が無限」という岡村だが、そんな彼に先んじてネットへ進出した売れっ子芸人といえばロンドンブーツ1号2号の田村淳(39)の名前が浮かぶ。

 田村といえばニコニコ動画で不定期配信の『淳の晩酌』という番組を持ち、最近では、『別冊カドカワ』(角川書店)の「ニコニコ動画特集」で、「今のテレビを捨ててニコ動だけに絞ってやってみようと思った。それでホントに言ったんですよ、吉本興業に。俺、テレビを捨てて年俸制でニコ動専属タレントになるの無理かな?って」と発言しているほどネットに興味を示している芸人。その発言がどこまで本気なのかはわからないが、ニコ動について今のテレビにはない熱気があると語る田村が、今のテレビバラエティに不満を持っているのは明らかだ。

「テレビというのは、ドラマにしろバラエティにしろ局の力が絶対ですからね。そして、その局はスポンサーによって成り立っています。どんなに売れているタレントでも自分の好きなことを番組にするというのは難しいです。やりたいことが局やスポンサーに受け入れられれば当然出来るのでしょうけどね。そんな中にあって、超売れっ子といえる岡村さんと田村さんが自分の力でネットに進出しようというのは、ある意味でテレビ業界に反旗を翻したようなものともいえます。岡村さんの場合は、スタート時点からフジテレビというバックがいるのは明白ですけどね(笑)。まあ、お金もあって、レギュラー番組も固定されて時間に余裕ができたから何か新しいことに挑戦したいと思ったのでしょう。もちろんその根底には“面白いことをしたい”という芸人特有の気持ちがあるはずです」(業界関係者)

 まるで今のテレビバラエティの窮屈さから解放されようとネットに向かっているかのような岡村と田村の二人。加えて、近年ではテレビに限界を感じてなのか、山崎邦正(45)や渡辺鐘(43)などが落語家へ転身し、テレビメディアとは一線を画して活動を行っている。芸人のテレビ離れという流れは、最近の芸人たちのちょっとしたムーブメントなのかもしれない。

 ただ、そうした行動をとる多くが吉本所属の芸人たち。なぜ彼らは新天地を求めるのだろうか。

 吉本のタレントマネージメントはひどいという話は度々ネタにされるが、実際若手芸人などに聞くところによると、確かに何もしてくれないという。たとえば、海外ロケの仕事で「現地集合・現地解散」なんてことは当たり前のようにあるという。また、そんな社風について、代表取締役社長の大崎洋は2011年に出演した『カンブリア宮殿』(テレビ東京系)で、「そうすることでバイタリティあふれる芸人が生まれる」と言い、力強い芸人を育てる手段のひとつだと語っていた。もしかしたら、そうして鍛えられた芸人たちだからこそ、意欲的にネットや落語界などといった新天地を求める動機が生まれるのかもしれない。またそうしたバイタリティが昨今の吉本芸人の隆盛にもつながっているのだろう。

 いずれネット配信というものも今のテレビのように簡単に視聴できることになるだろう。そうなったときの多チャンネル化はすさまじいものになるに違いない。芸人1人1人が個人的にテレビ局を持つ時代もそう遠くないのかもしれない。そしてその先頭に立つのは、バイタリティあふれ、時間と金に余裕のある吉本の売れっ子芸人たちだろう。
(文=峯尾/http://mineoneo.exblog.jp/
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