ソニー・ピクチャーズエンタテインメント
韓国芸能界で薬物騒動が巻き起こっている。睡眠導入剤や麻酔薬としても使われる向精神薬「プロポフォール」を不正に使用した疑いがあるとして、イ・スンヨン(44)、パク・シヨン(33)、ヒョンヨン(33)、チャン・ミイネ(28)の4人の人気女優が相次いで検察の調査を受けたのだ。昨年10月には、タレントのエイミーが同じ疑いで起訴され、懲役8カ月・執行猶予2年の有罪判決を言い渡された。当時から「第二の逮捕者が出るのは確実」といわれており、その予想が的中しそうな気配だ。韓国芸能界では、調査を受けた受けた彼女たち以外にも「中毒状態のタレントは数十人いる」とされ、深刻な薬物汚染が危惧されている。
プロポフォールは、見た目がミルクそっくりなことから“牛乳注射”と呼ばれ、マイケル・ジャクソンの死因がプロポフォールの過剰投与と発表されたことでも知られる。全身麻酔やICUでの鎮静に使われる即効性の強力な麻酔であり、投与から平均40秒で眠りにつくことができるそうだ。世界中の病院で使われている薬物だが、睡眠薬代わりの常用や麻薬代用品としての使用が一部で横行しているという問題も抱えている。プロポフォールは脳の受容体に働き掛けて無意識状態をつくり出すと同時に、ドーパミンの分泌を促してセックスやコカインと似た快楽を得ることができ、幻覚症状や無呼吸状態といった副作用が現れることもある。
当然ながら乱用は禁止されており、マイケルの死によって身体に深刻なダメージがあることも周知されたはずだが、なぜ韓国芸能界で蔓延しているのだろうか。
「俳優や女優は不規則な生活で不眠症に陥ったり、短時間の睡眠しかとれないことが多い。彼らにとって、短い時間でも確実に熟睡できるプロポフォールは魅力的。だが、最初は不眠解消などのために使用していても、快楽作用によって中毒状態になってしまう。治療目的以外の使用は禁止されているはずですが、韓国では金に目がくらんだ医者や看護師が麻薬代用品として芸能人や富裕層に投与するケースがあり、乱用を助長しています。また、タレントが頻繁に訪れると宣伝になるため、彼らの不正投与の要求を聞き入れている病院もある」(韓国在住の芸能関係者)
これだけでなく、プロポフォール汚染は韓国芸能界ならではの事情も関係しているようだ。
「プロポフォールは整形手術の際に使われ、そこで初めて体験した芸能人がハマってしまうパターンが多いようです。汚染が広がっているということは、いかに整形手術を受けている芸能人が多いか、という証明にもなっていますね」(前同)
今回、検察調査を受けた女優たちは治療や美容施術目的で投与したことは認めたが、不正使用や常用は否定。だが、検察は不正投与をしていた形成外科医の顧客リストなどを基に乱用の事実を証拠をつかんでいるといわれる。4人とも精力的に活動する人気女優であるだけに注目度が高く、これ以上の薬物疑惑の拡大があるのかも含めて、韓国の国民は固唾をのんで今後の成り行きを見守っているようだ。
(文=佐藤勇馬/Yellow Tear Drops)