先日、全日の週間視聴率でTBSに抜かれ、約30年ぶりの4位に転落してしまったフジテレビ。2010年秋に新設した日曜夜9時のドラマ枠「ドラマチック・サンデー」も低視聴率によって4月から社会派バラエティーに変更すると報じられた。
同枠では、第1弾となった松雪泰子主演の『パーフェクト・リポート』が平均視聴率6.6%(ビデオリサーチ調べ、関東地区/以下同)と最初からケチがつき、昨年4月から放送されたオダギリジョー主演の『家族のうた』は3.9%という民放連続ドラマプライム帯(19時~23時)の史上最低記録を更新し、途中で打ち切られてしまった。好評だったのは芦田愛菜と鈴木福が出演した『マルモのおきて』くらいで、一社提供の花王が撤退を検討したこともあり、ドラマ枠の終了を決めたようだ。
話題になるのは不祥事と低視聴率ばかりという負のスパイラルに陥っているフジ。昨年からは女子アナの離脱も目立ち、中野美奈子に平井理央といった人気アナが退社、さらに13日、原稿を正確に読み情報を伝えるという基本的なアナウンス能力に長け、バラエティでも強い戦力になっている高橋真麻アナも3月いっぱいで退社することが発表された。そのうえ現在、実力・人気ともにナンバーワンのカトパンこと加藤綾子アナも、フリー転身を検討していると言われており、フジ側は彼女をつなぎとめるため昇給などの策を弄しているという。
「女子アナウンサーは一般企業のOLと比較すれば高給だがかなりの激務で、生放送を毎日担当していれば強いストレスにもさらされる。担当番組の数によっては、テレビ収録は拘束時間も長く、長時間勤務がザラ。それでいて上層部は視聴率のことばかり気にかけて現場にハッパをかけてくる。ならばいっそタレントに転じて、自分のペースで仕事をしたいと思うのも無理はない」(芸能記者)
低視聴率に人材不足…この窮地を打開する救世主として、元同局アナでフリーキャスターの高島彩に白羽の矢が立ったようだ。4月から始まる同枠の新番組『テレビ社会実験バラエティー あすなろラボ(仮題)』で極楽とんぼの加藤浩次とコンビを組み、MCに起用されるという。
「局アナ時代を『地獄の日々だった』と表現してヒンシュクを買った元フジの中野美奈子アナと違い、アヤパンは退職後もフジと良好な関係を築いてきた。フリー転向後も視聴者からの人気や好感度は相変わらず高く、MCとしての実力も業界随一。巻き返しを狙うフジとしては、最も信頼できるMCとして起用したのでしょう」(テレビ局関係者)
まさにフジの復活はアヤパンの両肩にかかっていると言えそうだが、関係者からは冷めた声も上がっているという。
「昨年10月に深夜バラエティー『世界は言葉でできている』がゴールデンに昇格し、テコ入れとしてMCの一人がショーパンこと生野陽子アナからアヤパンに変更されましたが、低視聴率によってわずか5回で打ち切りになっています。実はフリー転向後に担当した番組でヒットはなく、局アナ時代の実績を周囲がありがたがっているだけの状態。決して数字を持っているフリーアナではないのに、何が何でも視聴率を稼がねばならない勝負の時間帯に投入するのは疑問です」(テレビ局関係者)
看板アナのひとりであるショーパンを切ってまでアヤパンに期待を託したが、結果は散々だった。同番組では豪華なセットを用意し、高島には最低でも1本60~70万円のギャラが支払われていたようだが、無駄に終わってしまったようである。さらに、フジ局内からも今回のアヤパン起用に対する批判が起こっているようだ。
「局内では『何で数字も取れていないのに、この前まで社員だった人に高額のギャラを払わなきゃいけないんだ』という声が上がっていますよ。特に番組を降板させられたショーパンをはじめ、局アナたちにとっては面白くないでしょう。連日の低視聴率によってフジ内で社員の給与削減案も浮上しているというのに、元社員のフリーアナをこれだけ厚遇しているのだから批判が起きるのは当然です」(フジテレビ関係者)
身内から批判されながらもアヤパン起用に活路を見出そうとしているフジ。今回もコケてしまうようなら、もう打つ手はないのかもしれない。
(文=佐藤勇馬/Yellow Tear Drops)