不況の中、「朝キャバ」や「昼キャバ」などあれこれと生き残りを図るキャバクラ業界だが、最近は「熟女キャバクラ」の増加が目立つ。AVをはじめ、昨今の熟女ブームを考えれば、とくに不思議ではないのだが、この業界ならではの事情もありそうだ。風俗情報サイト『MAN-ZOKU』の丹田勇人編集長はこう話す。
「キャバクラやクラブといったいかにも夜遊びではなく、ホッとできるアットホームさなどが好評を得ているのだと思います。ひと言でいうと“癒し”でしょうか。それは“現代風スナック”とも呼べるものなのかもしれません。それから、今までの夜遊びは複数で遊ぶことが主流だったのですが、メイド喫茶や一部のキャバクラなどの台頭で、1人で遊びに行っても恥ずかしくない流れになっています。熟女とは言っても、それほど高齢ではなく、30代中心の店が人気のようですね」
働く女性側から見ると、これまでは20歳~25歳くらいでキャバクラ嬢としてデビューし、25歳~35歳くらいで高級クラブやラウンジに移行し、35歳過ぎるとスナックで働いたり、独立してお店のママになったりというのが、一般的なお水業界のキャリアだった。それゆえに“熟女キャバクラ”という分野は存在しなかった。つまり、昔はクラブやスナックが、熟女キャバクラの役割を担っていたのである。
キャバクラは高級クラブやラウンジよりも気軽に遊べるということで、20年ほど前から増加の一途をたどってきたが、この間景気はずっと悪かったので、客は会社の交際費や接待費で飲む高級クラブやラウンジから離れてしまった。よって、そういうお店は閑古鳥が鳴くようになり、キャバクラを卒業した女の子の受け皿として機能しなくなった。
「お店側としても、キャバクラで働いてきた女の子を卒業させて他店(高級クラブやラウンジ)に持っていかれるくらいなら、熟女キャバクラを作って、もうしばらく稼がせてもらおうと考えたとしても不思議ではありません。その年齢層の女の子たちの新たな受け皿として登場したのが熟女キャバクラでしょうか」(夕刊紙記者)
さて、そんな熟女キャバクラの魅力を実感すべく、東京・銀座に12月10日オープンした『遊里(YURI)』に行ってみた。このお店は新橋の熟女AVキャバクラ『SHUNGA』の姉妹店で、AV女優の夕樹舞子さんも在籍しているが、一般の女の子も多数在籍している。60分のセット料金がメンバー10,000円、ビジター12,000円(サービス税・消費税別)と、他の熟女キャバクラに比べると高めだが、そこは“銀座価格”といったところか。また、「キャバクラのようにガヤガヤしていないので落ち着いて飲めるし、高級クラブのようなサービスが手ごろな料金で楽しめる」(店長)のがウリである。
取材に応じてくれた由貴さんはオープン初日から出勤していたそうだ。
「入店は知り合いの紹介ですが『37歳の熟女ですけど大丈夫ですか?』みたいな(笑)。前の店もキャバクラでしたが、普通のキャバクラだったので、私が最年長でした。それでもとくに問題はありませんでしたが、お店に同世代がいると、話しやすいということはありますね」
東北出身の彼女が東京に一人暮らしを始めたのは今年4月。以前も地元でキャバクラやスナックで働いていたそうで、お水歴が15年とそれなりのキャリアだ。
「震災以来、お客さんを含めいろいろな方とお話をして刺激を受け、生きているうちに悔いのないようにチャレンジしておこうと東京に来ました。銀座で働くというのは昔から憧れでしたし、40歳までに何かをつかみたいなと思います」
見かけとは違って(失礼!)、お酒は弱いという彼女。ソフトボールをやっていたということもあって、スポーツの話題だと特に盛り上がるとか。また、好きなタイプは年齢に関係なく「色気のある男の人」だそうだ。過去にはお客さんと付き合ったこともあるそうで、酸いも甘いも知っている“熟女キャバ嬢”だからこそ、客の男たちは皆、気持ちよく酔えるのかもしれない。
(文=上条泡介)