「もの言うソフトM女性」が濡れる言葉責め・乾く言葉責め

※イメージ画像 photo by Srefis Limited from flickr

 「痛い」「汚い」が伴うハードSMに苦手意識を持つ女性でも、ソフトSMは嫌いではないというケースは比較的多い。ただし、どこまでがソフトSMで、どこからがハードSMかという問いに答えるのは非常に難しい。コンタクトレンズのように、「これはソフトでこれはハード」とはっきりした定義があるわけでもなし、その線引きは人それぞれ価値観で異なるだろう。具体例を挙げると、ローソクやスパンキングをソフトと捉える人もいればハードと捉える人もいるはずだ。逆に、いかに人それぞれ価値観が異なるといっても、医療針や尿道カテーテルを用いるプレイは十中八九ハードの部類に入る。また、言葉で羞恥を煽る行為はほとんどの人がソフトと捉えるであろう。

 このように、ひとくちでSMといっても実に奥の深い世界であるが、その中からここでは「言葉責め」に注目してみよう。言葉責めを好む女性たちは、前述の「痛かったり汚かったりというハードSMは苦手」な「自称ソフトM」だ。自称というのはSMに限らず厄介なもので、自称ミュージシャンやら自称クリエーターやら名乗る者の中には、中身のない怪しい人物も多々混じっている。話をSMに戻そう。自称ソフトM女性は、真性のM女性とはわけが違うため、自分の嗜好に合わない言葉責めには容赦なく不快感を露わにする。「もの言うソフトM」といったところか。

 S気質の男性の中には、もの言うM女性に苛立たされた経験を持つ人も少なくないだろう。「私ってMっぽいんだよね」というから誘ったのに、いざプレイに入るとあれはイヤ、これもダメばかりでは萎えてしまう。ベッドインする前に(もの言うソフトMだと)見抜ければいいが、そう簡単にもいかない。そもそも、真性M女性よりも、もの言うソフトM女性のほうが圧倒的に多いのは紛れもない事実。ということは、真性M女性を探すよりも、もの言うソフトM女性に好まれる言葉責めをマスターしたほうが手っ取り早いという結論に達する。では、もの言うソフトM女性にもの言わせない言葉責めとはどのようなものなのだろうか? 

 まず、避けるべきNGワードをおさえておこう。意外に感じるかもしれないが、言葉責めの鉄板とも思われる「メスブタ」は不人気のようだ。やはり、ブタと罵られて性的興奮を得るのは真性M女性。もの言うソフトM女性にとっては、容姿やスタイルをけなされているように受け取るのか、性的興奮どころか腹が立つものらしい。「変態」「奴隷」も然り。あくまでもノーマルでありたいという主張なのだろう。

 次に、オーガズムに関する言葉責めもウケはイマイチだった。オーガズムを制限されたり、オーガズムに達した回数を持ち出して淫乱呼ばわりしたり、オーガズムを得たことにお仕置きをするなどの発言は、もの言うソフトM女性は冷めるらしい。理由は、「オーガズムが演技の場合もあるのに、それに対して勝ち誇った態度をとられるのは納得できない」とのこと。女心は複雑である。

 そして、賞賛を求めるのも控えたほうが無難である。「こんなの初めて?」「俺のペニス大きい?」など、己のテクニックやペニスの具合を女性に褒めさせるのは不可。自己満足、ナルシストと解釈される危険性がある。気を付けよう。

 では、もの言うソフトM女性が納得するのはどのようなワードなのか? 多かったのが、「何が欲しいの?」「どこに欲しいの?」など、部位系。とはいえ、「男性器は言えるが、女性器を言わされるのは恥ずかしい」という女性もいれば、「もっといやらしい言い方で」とエスカレートしていくことに興奮する女性もいるようなので、相手次第だろう。

 乳首の勃起状態や局部の濡れ具合など、状況解説にも人気があった。解説といってしまうと語弊があるかもしれない。「グチョグチョだよ」「エッチな音がしているよ」程度で充分だろう。実況中継の如く流暢に語っては興醒めである。

 乱暴な言葉遣いよりも、むしろ冷静な口調のほうが萌えるという声も挙がった。「来いよ!」よりも「おいで」といったところか。いやはや、気を遣わねばならない箇所が多すぎて、サディストの「S」というよりは、サービスの「S」のようである。これを楽しめる男性は万人ウケの素質があるかもしれないが、「もの言うソフトM女性には付き合いきれない」という男性は、真性M女性を探すしかないだろう。
(文=菊池 美佳子)

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