かつてのカリスマ・小室哲哉(53)の落ちぶれ具合がひどいと話題になっている。特に、10月21日に放送された『スナック喫茶エデン』(フジテレビ系)に出演した小室の仕事ぶりが、まるでヨゴレ芸人のようだったというのである。
同番組は、路地裏のスナックを舞台にしたアドリブ芝居でトークを展開し、歌を披露するといった新感覚の音楽番組。出演陣には、マスター役にリリー・フランキー、そのスナックに出入りする娘たちという役柄でAKB48のノースリーブスの3人(高橋みなみ、小嶋陽菜、峯岸みなみ)、スナックの店員として、蒼井優との熱愛で注目度が急上昇した俳優の鈴木浩介などが顔を揃える。その中で小室は、過去にヒット作を何発も世に送り出しながらも、今は売れない小説家というキャラクター。設定からして自虐臭たっぷりである。
“売れない小説家”という設定もさることながら、まずネット上で話題になっているのは小室の歌声である。番組中で、ほとんど人前で歌ったことがないと漏らした小室は、持ち歌3曲の中から、チェッカーズの「夜明けのブレス」を選択。自分でピアノを弾きながら歌ったのだが、歌声はイマイチ。音程すら微妙に外しながらも、なんとか歌い切った。
また、番組の展開とはいえ、小室は、この日ゲスト出演した俳優で演出家の池田鉄洋とキスをするという姿まで披露。そんなヨゴレタレントのような彼の姿に、「どうした小室!?」と、かつてのカリスマの落ちぶれ具合を嘲笑、そして心配する声が広がっているというわけだ。
さらに、AKB48の峯岸は、「負のオーラがある」「かわいそう」などと言いたい放題。そんな峯岸の言葉に苦笑いを浮かべる小室は、ただ痛々しい。だが、そうした扱いを受けながら、自ら自身の過去のヒット作をギャグにするなど、番組内の小室は堂々と開き直っても見える。それは、過去をかなぐり捨て、新しい自分を探そうと、再出発を試みている男の姿だ。
2008年、詐欺容疑で逮捕され、翌年5月に大阪地方裁判所より懲役3年、執行猶予5年の有罪判決が言い渡された小室。保釈金や和解金など、総額で6億円以上といわれる大金をエイベックス・グループ・ホールディングス社長の松浦勝人氏に肩代わりしてもらった身としては、とにかく来た仕事に関しては何でもこなさなければならない状態なのだろう。
加えて、2011年10月には妻であるKEIKOがくも膜下出血で緊急入院。手術は成功したが、記憶障害という後遺症に悩まされ、目下リハビリ中というKEIKO。小室とすれば、妻を支えるためにも、どうにか再起を目指したいところだ。
なりふり構っていられない状況の小室。そんな今だからこそ、小室は、得意でもない歌を披露し、番組のためならと俳優と唇を交わす。子どものような年齢のアイドルに何を言われても機嫌を損ねない彼の姿は、一見哀れでもある。しかし、それでも男にはやらなければならないことがある。だから、彼はどんなに惨めな姿も人前でさらす。まるでヨゴレ芸人のような振る舞いも、それだけ彼が妻を愛しているという証拠に違いない。
(文=峯尾/http://mineoneo.exblog.jp/)
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