いまや希少な「テレビでおっぱい」が復活する日は来る?

※イメージ画像:『ささやくオッパイ~the whisper of breasts~』
ジェイブイディー

 かつては深夜のお色気番組で女性のヌードを拝める機会が頻繁にあったものだが、最近は激減し寂しく思っている方も多いのでは? そんな中、9月中旬に、関西ローカルではあるものの、地上波で大々的にオッパイを取り上げた番組が放映され話題となった。

 果敢な挑戦をしたのはテレビ大阪が9月13日にオンエアした『ヨクトビラ』という単発番組。“新教養バラエティ”と銘打ったこの番組は、「見たい」「気になる」「欲望の扉=ヨクトビラ」の開放がコンセプト。「究極の乳房」「至高の股間」という二つのテーマを扱い、街頭インタビューや専門家の意見を元に、理想の女性のバストと男性のペニスについての考察を行った。

 前半の乳房編では下着メーカーのデータから美乳の黄金比を導き出し、整形外科医による乳房の形状の分析、さらに一般女性に対する乳首の色を尋ねる街頭インタビューなどを元に、最高のバストを選定。最終的に理想とされた洋梨型の美しい乳房がバストトップと共に数十秒間公開されたのだ。

 ネット上では「これが地上波で放送されたのは奇跡だ」「キターーー」「大阪に住んでて良かったわ」などの賞賛の声があがる一方で「3次元に興味ない」「ネットでいくらでも無修正動画が見られるのに騒ぎ過ぎ」などの冷めた意見も多かった。

 アイドルに負けず劣らずの美少女が登場するAVが溢れているだけでなく、検索すればネットでいくらでも無料の過激動画が楽しめる、言わばエロ過剰な時代に思春期を送った世代と、それ以前の世代では、テレビで見られる裸に対する感性は大きく異なっている様子。

「ネットがないだけでなく、家庭にビデオが普及していない時代は、深夜のお色気番組で僅かに映るオッパイを脳裏に叩き込んでオナニーに励んだもの」「今振り返ると他愛無いが、当時は相当興奮した」と、お色気番組を懐かしむ意見は、それらが全盛期だった1980年代に青春時代を送ったアラフォー世代を中心に根強い。

 80年代は平日には『11PM』(日本テレビ系)、『トゥナイト』(テレビ朝日系)といった深夜の帯ワイドショー番組のお色気企画が定番だった。11PMでは1980年から火曜日の大阪局制作枠で「秘湯の旅」というコーナーをスタート。うさぎちゃんと呼ばれるモデルたちが湯につかり、バストを晒しながら効能を説明する姿がお色気満点だった。同年には同じくトップレスの女性がセクシーなポーズをとる「ヌードヨガ」のコーナーをスタートするなど、深夜のお色気番組の基礎を作った。

 また『トゥナイト』も対抗すべくお色気コーナーに力を注いでいたが、中でも人気だったのが映画監督・山本晋也がリポーターをつとめ性風俗を紹介する「中年・晋也の真面目な社会学」だった。

 さらに80年代半ばには『オールナイトフジ』(フジテレビ系)が女子大生ブームを巻き起こし土曜深夜の視聴層を開拓したのに対し、『TV海賊チャンネル』(日本テレビ系)、『ミッドナイトin六本木』(テレビ朝日系)などの後続番組は、過激なお色気路線で対抗。黎明期のAV女優が裸を晒す「ティッシュタイム」(『海賊チャンネル』)、生放送で性感マッサージの模様がオンエアされた「今週のピンク・ニュース」(『ミッドナイトin六本木』)など、現在では放送不可能な直球のエロが、当時のヤングの股間を熱くしたのである。しかし行き過ぎたエロ路線は国会で取り上げられるほど問題化され、放送終了を招くこととなった。

 とは言えエロという高視聴率コンテンツはテレビ局にとって魅力だったようで、その後も散発的に作られては、問題となって消滅をくり返すこととなる。

 88年にスタートした『姫TV』(テレビ朝日系)で、90年ころから始めたコーナーは、全裸の女性を7枚のパネルで覆い隠し、簡単なクイズを出題。間違えると、パネルがめくられ裸が見られてしまう企画。現在東京芸人の名伯楽として知られるブッチャーブラザースや元祖巨乳女優・中村京子とのやりとりを覚えている人も多いだろう。

 91年には今なお語り継がれる伝説のエロ番組『ギルガメッシュないと』(テレビ東京系)がスタート。飯島愛、城麻美、憂木瞳など一線のAV女優が数多く出演。裸エプロン姿や、エロチックなゲームで胸チラを乱発してくれた。

 93年開始の『殿様のフェロモン』(フジテレビ系)は、今一線でバラエティを牽引するナインティナインや今田耕司・東野幸治が、まだ若手特有のギラギラした上昇志向を持っていた頃に出演。ハケのついた水車でAV女優の股間を刺激し悶えさせるという極限のお下劣コーナーは深夜と思えぬ高視聴率を叩きだした。

 94年に放送開始の『ロバの耳そうじ』(日本テレビ系)は、AV女優・水原美々が美乳を晒して天気予報をするコーナーが人気だった。

 しかしここで列挙した番組は何れもその内容が問題となり、PTAなどから低俗番組のレッテルを張られただけでなく、放送倫理に触れるとのクレームを受け、テレビ局を認可する郵政省・総務省にまで苦情が入るまでになった。90年代後半には、地上波でバストが大っぴらに晒されるようなバラエティ番組は壊滅状態に陥り、現在では深夜のドラマ枠で極まれに見られる程度。

 視聴率はとれるもののテレビ局に求められるコンプライアンス意識が高まり、一部のネチズンが直接スポンサーに抗議を入れるのが当たり前となった現在。冒頭で紹介した『ヨクトビラ』のようなお色気バラエティ番組がレギュラー化され、オッパイをテレビで拝める可能性は、残念ながら相当低いだろう。
(文=ピーピング・トムソーヤ)

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