7月3日、新ドラマ『GTO』(フジテレビ系)が鳴り物入りでスタートした。正式に制作発表される以前から、主演の鬼塚英吉役に内定していた赤西仁が降板するなど、内情がスッパ抜かれ、よくも悪くも話題となっていた同作。高い注目を得られたようで、初回視聴率は平均15.1%(ビデオリサーチ調べ/関東地区)という好数字を弾き出した。
だが、1998年に反町隆史主演で放送されたドラマのリメイクとあって、当時のファンには物足りない内容だったことは否めない。初回のストーリーも、98年版とほぼ相違ないもので目新しさがないだけでなく、出演者の演技力の低さも目に余った。
「EXILEのパフォーマーであるAKIRAに主演は荷が重かったのでは? 外見は鬼塚風ではあるもののセリフの棒読みがひどく、学芸会レベル。決して反町の演技力が高かったとは言いませんが、当時の反町は高視聴率ドラマを連発していて、一部で“反町神話”とも言われていました。98年版にはいまだに強い思い入れのあるファンが多いため、今回のリメイク作品はそれを知らない中高生などの若年層にしか受け入れられないのでは。それともうひとつ、生徒役のキャスティングには各芸能プロダクションの思惑が色濃くにじみ出ており、興ざめですね」(テレビ誌ライター)
今回の配役を見てみると、98年版でメインの生徒となった教師イジメの首謀者・相沢みやび(98年版は中村愛美、以下同)に研音イチ押しの川口春奈、村井国雄(池内博之)と菊池善人(窪塚洋介)はそれぞれジャニーズJr.、気弱なイジメられっ子の吉川のぼる(小栗旬)には『家政婦のミタ』(日本テレビ系)でアスダ家の長男を演じたスターダストプロモーションの中川大志が配されている。また、美人モデルとして話題にされることの多い西内まりや、本田翼も生徒役で出演中だ。
だが生徒役の新人俳優たちの演技力などたかが知れている。窪塚や池内、小栗は今でこそ演技派俳優に成長したが、当時から上手な演技ができたわけではない。何より旧作と新作では、脚本の違いが大きい。98年の『GTO』脚本を執筆した遊川和彦は、『十年愛』(フジテレビ系)、『魔女の条件』(TBS系)、『女王の教室』(日本テレビ系)と各局でヒットドラマを手掛け、昨年はドラマ不況が騒がれる中で大金星となった『家政婦のミタ』を制作したヒットメーカー。旧作の脚本が秀逸だったせいか、リメイク版は「名シーンの焼き直し」に終始してしまっている。
ただの焼き直しに何の意味もないことは、前田敦子主演でリメイクされた『花ざかりの君たちへ~イケメン☆パラダイス~2011』(フジテレビ系)が証明済みだ。『GTO』制作発表で、AKIRAは「どなたがやっても魅力的な作品」と話したが、そううまくはいかないだろう。二回目以降、興味本位でチャンネルを合わせた視聴者が離れ、一桁台に急降下してしまう可能性も否めない。現時点では前作に忠実な内容で進行していくようで、この先のストーリーをすでに知っている視聴者はますます視聴意欲を失ってしまうだろう。単純なリメイクではなく、独自路線のまったく新しい『GTO』を構築してほしいものだが……。
(文=鬼流院生姜)