初の東京ドーム公演や前田敦子の卒業、3回目の選抜じゃんけん大会の開催など話題盛りだくさんのAKB48が、8月15日にニューアルバム(タイトルは未定)をリリースすると発表した。4枚目のアルバムとなる同作は、「桜の木になろう」「Everyday、カチューシャ」「フライングゲット」など全28曲を収録した2枚組で、税込1,980円(劇場盤)。この価格で着せ替えジャケット10枚や生写真が付属するというサービスぶりだが、さらに東京ビッグサイトで9月~10月に3回に渡って行われる握手会&写真会の参加権も付いている。
単純にCDとして見れば、28曲も入って2,000円を切っているのだから、かなり良心的といえるだろう。しかし、握手券ほしさに何枚も購入する熱狂的なファンにとっては、1,500円前後のシングルを買うよりも負担が増加する。
さらに今回のキモは写真会の仕組みだ。CDを買えば必ず握手会には参加できるが、同時開催されるツーショット写真撮影会への参加は抽選。当日、会場で引くクジ引きで当たりを引けば、目当てのメンバーとの握手&2ショット写真を撮影することができるのだが……。
「写真会は、1日あたりメンバー1人につき当選上限が最高で600枚までとなっています。CDを何枚も買って何度も推しメンのレーンに並べば、運がいいファンは複数回の撮影ができますが、運が悪ければ一度も当たらず写真は撮れないということになる。9月のイベントで抽選に外れたファンは、再びCDを大量に買い直して10月にリベンジするでしょう。特に人気メンバーとの写真撮影は、かなり狭き門になる可能性がある」(アイドルライター)
別日に参加しなおさなくとも、参加権が多ければ多いほど当選確率は上がるのだから、CDを大量買いするファンは続出するだろう。運営側は、「選抜総選挙」とは違った形の新たなAKB商法を編み出したといえそうだ。この販売戦略に対し、ネット上では「ついにギャンブル性まで導入したか」「完全に射幸心を煽ってるだろ」「ファンを殺しにきてるな」といった意見が書き込まれている。
AKB商法をめぐっては、自民党の礒崎陽輔参院議員が自身のTwitterで「『総選挙』の投票権を金で買うという点は、コンプガチャと同様の問題があると考えます」と指摘し、自主規制すべきではないかと提言する事態も発生した。(※参照記事)
総選挙で「推しメンの順位を上げたい」とファンに思わせるのはもちろん、今回の抽選形式での2ショット写真をエサにした販売方法も「射幸心を煽っている」と言われれば反論できない部分がありそうだ。あまりにも目に余るようであれば、公的機関の指導を受ける危険性も否定できない。とはいえ、音楽不況の中でCDを売るためには仕方がないという見方もあり、現状では賛否両論となっている。
いずれにせよ2枚組の低価格アルバムで握手&撮影権がつくとなれば、早くも今年最大のヒット作となる見込みが高い。アイドル界のみならず、売上では音楽業界でも無敵といった勢いのAKBにとって唯一の敵は、国会議員の発言に端を発した“AKB商法の規制”なのかもしれない。
(文=佐藤勇馬/Yellow Tear Drops)