出産・育児のために休養していた香椎由宇(25)が、7月16日スタートの深夜ドラマ『走馬灯株式会社』(TBS系)で女優復帰する。夫のオダギリジョー(36)が主演した『家族のうた』(フジテレビ系)は、開始前に往年の名ドラマ『パパはニュースキャスター』(1987年/TBS系)に設定が酷似しているとの盗作騒動でケチがつき、平均3・9%(関東地区)という記録的な低視聴率で3話短縮の打ち切りとなった。
連ドラ初主演となる香椎は、不名誉な記録を残した夫の分まで頑張りたいところだが、何と『走馬灯株式会社』にもパクリ疑惑が浮上し、業界で「夫の二の舞になるのでは……」と不安がられている。
同ドラマは「漫画アクション」(双葉社)連載中の菅原敬太氏による同名人気コミックが原作で、「走馬灯株式会社・主任」の肩書を持つ謎の女性(香椎)が、会社に迷い込んできた人物に“他人の目から見た今までの自分の人生”を記録したDVDを見せるというストーリー。自分の目からでは知り得なかった事実を突きつけられた登場人物の心の揺れ動きが見どころだ。
このドラマが、あるショートフィルムのパクリではないかと騒がれている。
「その作品は1998年の制作で、佐藤懐智氏が監督した『走馬灯屋の退屈』という実写インディーズ映画です。死んだ人の魂から収拾した一生分の記憶を記録・保管する“走馬燈屋”と呼ばれる女性が主人公で、女性が案内役になる設定とタイトルが酷似しているのではないかといわれました」(映画関係者)
実はこの騒動、昨年の段階で一応は収束している。盗作を疑った佐藤氏が弁護士を立て、菅原氏に内容証明を送るという事態にまで発展したが、菅原氏が「走馬灯屋の退屈」を知らなかったため、盗作には当たらないとの返答があったようだ。
だが、ドラマ化が決定したこともあって再び騒動に火がついた。これを報じた今月3日発売の「アサヒ芸能」(徳間書店)のインタビューで佐藤氏は、以下のように語っている。
「作者は映画作品を知らず、アイデアの同一性は認めるものの、表現上の本質的な特徴を直接感得するものではなく、著作権侵害には当たらないという回答でした。また、映像化する際には必ず事前協議をしてほしいと申し入れていましたが、結局スルーでした。争うつもりもなく『屋』が上場して『株式会社』になったのは苦笑するしかありません。しかし、もしも盗作であったならば、アイデアで勝負するクリエーターとしては残念です」
そんなに似ているのかと思いきや、映画を実際に観てみると盗作と言い切るのは少々厳しいのでは……と感じられる。ストーリーは全くの別物でタイトルも盗作といえるほど似ているわけではなく、「走馬灯を見せる謎の女性」というモチーフも、類似作品の登場が予想できないほどオリジナリティがあるとは言い難いのではないだろうか。
「菅原氏は本当に映画の存在を知らなかったようです。それに彼は、意図的に盗作をするような器用なタイプではない。もうカタがついた話だったのに、今になってまた記事になっていることに周囲も困惑しています」(双葉社関係者)
元々騒動が起きていたところに、オダギリがパクリ疑惑で脚本変更となったドラマで大失敗し、その妻・香椎が今作に出演するという不思議な連鎖。これによって再び注目されてしまったようだ。ドラマ関係者にとってみれば「縁起が悪い」という気持ちになるのも理解できるが、今回は制作に問題はなさそうである。
思わぬ騒動が持ち上がった香椎の復帰作だが、原作の面白さは折り紙つきなだけに、不安材料をはねのけるような名作に仕上げてほしいところだ。
(文=佐藤勇馬/Yellow Tear Drops)