人生とは、悲しいかな、思いどおり・予定どおりにはいかないものだ。例えば10年前の段階で、「10年後には結婚もしていて、子どもも生まれていて、会社を辞めて独立して、マンションを買って……」などあれこれ描いていたことが、どの一つも実現していないという人がほとんどではないだろうか? しかし、思いどおり・予定どおりにいかないから、人生はおもしろいのかもしれない。「まだ独身だが、そのぶん複数の女性と遊びまくっている」という人もいれば、「今もなお不景気が続いているのだから、早まってマンションを買わないで良かった」と胸をなでおろしている人もいるだろう。
とはいえ、あまりにも想定外のハプニングが起きると、あたふたしてしまうのは当然である。「まさか自分がバツ2になるとは! 慰謝料がタイヘン」「会社を辞めて起業したのはいいが、一年も経たないうちに倒産し、再就職もままならない」などの事態に、頭を抱えている人も少なからずいるはずだ。
人生にまだ波風は立っていなくとも、想定外のセックスにあたふたした人は多いだろう。カノジョやセックスフレンドなどの、馴染みの相手ならともかく、初めて肌を合わせる女性とのセックスでは、何が起きるかわからないと覚悟しておいたほうが良いだろう。
まずは、予想外といっても、嬉しいほうのハプニングに関して。稀に、「中に出していいよ」という女性がいる。天使のささやきかと思いきや、「ピル飲んでいるの?」と聞いても、「安全日?」と聞いても、「そういうわけじゃないけど」との返しの場合。さて、どうするか? 今のご時世、「はい、悦んで!」と、何も考えずに膣内射精に及ぶ人は少ないようだ。たいていの男性は、「何か企んでいるのかもしれない」と深読みしてしまうとのことだった。妊活ブームの影響もあるのだろう。「女性からの膣内射精要求には、恐怖すら感じる」と、萎えてしまうという男性も。とはいえ、誘惑には勝てず、肉体的快感を優先させたくなることもあるだろう。こればっかりは、「半分だけ出して、半分は外出し」というわけにもいかず、二者択一である。いっそのこと、「顔射が好きなんだ」「早漏だからゴム着けたほうが長く楽しめるんだ」など、全く別の観点で返したほうが良いのかもしれない。
前戯の段階から、想定外のハプニングに見舞われることもある。今度は、嬉しいハプニングではなく、その逆。クンニを求められ、二つ返事でOKしたは良いものの、想定外に臭う場合、どうしたらいいものか? スソワキガとまではいかなくても、蒸れなのか、強烈な激臭を放出させている女性も存在する。男性陣の中には、「シャワーを浴びていないヴァギナのほうがそそられる」という嗜好の人もいるだろうが、これがアナル舐めともなると話は別だろう。
スマートな打開策としては、「一緒にシャワー浴びよう」と、浴室に誘導するパターン。「臭いから洗ってこいよ!」よりは、ずっと紳士的である。とはいえ、雰囲気的に、今さらシャワーを浴びるのは不自然なケースもある。冗談っぽく、「恥垢すごいぞ」と言えればラクなのだろうが、そういうわけにもいかない。修行だと思って無心で舐めるという人もいたが、「ガマンできなくなった! 早く挿れたい!」と言ってみては如何だろう? これなら、角は立たないはずである。ということは逆に、女性がフェラチオを始めるやいなや、「欲しくなっちゃった」と言ってきたら、それは、ペニスが臭いというサインなのかもしれない。以後、気を付けよう。
想定外のトラブルというと、なんといってもアナルなしには語れないだろう。性の多様化が進んでしまった昨今、女性が男性のアナルに興味を示すことも多々ある。シックスナインなどの最中に、予告ナシでアナルに指を挿れられ、悶絶したという男性が後をたたない。思わぬ快感に目覚めたという人は別として、そうでない場合は「ホンットにムリ!」など、ストレートに伝えるのが一番だろう。それでも、「すぐに慣れる」など、延々と穿り続ける女性もいるだろうから、その場合は「痛い」と言うしかない。実際には痛くなくても、うそも方便である。
ほか、コンドームに穴が開いた・放屁してしまった・女性だと思って誘ったら男性だったなどなど、セックスに関する想定外のハプニングは後をたたない。起きてしまうのは仕方ないこと。ポイントは、ハプニングが起きても、動揺せずに、その場に合った対応が出来てこそ、真のセックス紳士である。人生もセックスも、想定外の事態になっても、慌てず、スマートに立ち回りたいものである。
(文=菊池 美佳子)