小学5年生と中学2年生の保護者が選ぶ「子供に見せたくないバラエティ」の首位に、9年連続で輝いた『ロンドンハーツ』(テレビ朝日系)が、またネット上で話題になっている。といっても、「子供に見せたくないバラエティ」というくだらない調査の結果でではない。昨年から配信されている『ロンハー』のネットムービーだ。
配信開始当初は、いわゆる『ロンハー』の若手企画版といった程度のムービーだったが、番組内人気企画である「マジックメール」の特別版が配信スタートすると、瞬く間に人気に火がつき、第1弾・第2弾の再生回数は3,000万ビューを超えるほどの盛況ぶり。そのマジックメール特別版の最終章が29日のテレビ放映後、ついに配信された。
今回マジックメールの被害者となったのは、若手お笑いトリオ・パンサーの尾形貴弘。当初は通常のテレビ放映用に収録されていた尾形のマジックメールだが、尾形のあまりの食いつきの良さと撮れ高のよさに、制作サイドが急遽ネット配信を決断した様子。ネット配信の決まった直後から、MCである田村淳の悪ノリも一段と激しさを増し、それにつられて尾形が暴走していく姿は、近頃のテレビバラエティではお目にかかれなかった刺激に満ちている。
通常のマジックメール同様、尾形は、番組の共演者に対して下心を抱くか抱かないかをドッキリ仕立てで調査された。そんな尾形の下心を見極める相手は、グラビアアイドルの杉原杏璃。杉原の猛烈なアプローチに「共演者なんだから下心を持っちゃいけないんだ」なんていう煩悶はどこ吹く風でトバしまくる尾形。ずいぶんと杉原にご執心な尾形は、ついには人目もはばからずキスを迫り、「×××舐めたい」とまで発言してしまう。
まさに「地上波では絶対放送できない」と淳が言うような過激さと下品さを見せた尾形。常日頃から、「伝説を残すことが目標」と口にしている尾形だが、はからずも、今回のドッキリでそれは達成されてしまったのかもしれない。しかし、ネット動画とはいえ、6本の動画で累計3,000万ビューもの再生があれば、単純計算で1本500万人が見たことになる。しかもわざわざネットを開いての動的な視聴なのだから、知名度的には万々歳だ。美形で爆乳の杉原にあれだけ迫られれば、誰だって鼻の下を伸ばすに違いないし、どんなに下品であっても人気に繋がるだろう。
これまでも人気バラエティのスピンオフ企画としてネットで配信される番組はあった。しかし、そのほとんどは、あくまでも「ネット配信」という名の下、本放送よりクオリティが低い。容量や予算の関係による、その「ネットならでは」という拙さのようなものが魅力ともいえるかもしれないが、普段のテレビになれた人間にはどこか稚拙に映るのも事実だ。だが、今回、話題になっている『ロンハー』のマジックメールは、ほとんど地上波と同程度の企画内容と編集レベルに達している。最終的なオチの部分で、確かにゴールデンバラエティほどの豪華さはないが、それを補って余りある尾形の暴走は見ごたえ十分だった。すごいことに、今回のネットムービーは第1弾から第5弾まですべて合わせると、110分もの尺になる。これがすべて無料で視聴できるのだから、『ロンハー』スタッフの心意気を感じる。
テレビのバラエティ番組などは基本的に放送時間の2倍収録されている。今回のマジックメールも、ネット配信の動機は、淳曰く「本放送では収まりきらないため」というものだった。もちろんその言葉の中には「内容的に地上波では難しい」という意味もあるだろう。だが、今の時代であれば、これまで泣く泣くお蔵入りになっていたテープもネットで配信できる。これからのバラエティでは、ぜひネット配信も踏まえた番組作りをしてもらいたい。やはり、新しいメディアにこそ、新しい文化は育つのだから。そして、そんな挑戦を続ける『ロンハー』の10年連続「子供に見せたくないバラエティ」の栄冠は間違いない。
(文=峯尾/http://mineoneo.exblog.jp/)
著書『松本人志は夏目漱石である!』(宝島社新書)
ポン村上のマジックメールももっかい見て!
あー、こりゃ××舐めたくなっちゃうよね!