グループアイドル全盛の現在。アイドル本人や、それに携わるクリエイターや仕掛人のインタビューを中心に、著名なアイドルライターやミュージシャンのコラム、アイドルに造詣の深いJ-POP DJのCDレビュー座談会などでアイドルの10年間を振り返り、これからの展望をはかるムック『映画秘宝EX 激動! アイドル10年史』(洋泉社)。本書は最近アイドルグループに興味を持った初心者にも、ゼロ年代のアイドル事情を一望できる絶好の指南書になっている。
そこで今回は『激動! アイドル10年史』特別編として、AV女優随一のハロヲタ(ハロー!プロジェクト・ヲタク)として知られ、自身もアイドルユニット「me-me(ミーム)」の一員として活躍する“ここみん”こと成瀬心美にハロプロへの熱い思いと、me-meメンバーとしての抱負を縦横無尽に語って貰った。
──ハロプロに興味を持ったのはいつ頃ですか?
「お兄ちゃんが『ASAYAN』を観ていたんですけど、その影響で私も観るようになって。当時8歳で、それ以前はアイドルさんに興味がなくて『美少女戦士セーラームーン』が好きな子供だったんですけど、娘。(モーニング娘。)は最初のシングル『愛の種』から好きでしたね」
──娘。のどこに惹かれたんですか?
「私がアイドルを好きになるのって、可愛さもそうなんですけど、頑張ってる姿も大きいんです。『愛の種』って手売りをしてたじゃないですか」
──「愛の種」はインディーズからのリリースで、5日間で5万枚を手売りで達成したらメジャーデビューって課題でしたね。
「それで応援したいなって思ったし、だんだん気持ちが入っていったんですよね。まだ子どもなのに親心みたいな(笑)。シングルが出る度にお兄ちゃんがCDを買ってたんですけど、それをダビングして聴いてました。娘。が『うたばん』や『HEY!HEY!HEY! MUSIC CHAMP』に出たら録画して、翌日は学校で朝から友達と歌や踊りの練習をしてました」
──観て聴くだけじゃなく実践派だったんですね。人前で披露することはあったんですか?
「ありました。小学校5年生の時に学校の歌合戦に出て『ハッピーサマーウェディング』を歌って踊りました。『LOVEマシーン』以降の曲は、かなり踊れるんですよ(笑)。娘。だけじゃなくて、プッチモニ、タンポポ、ミニモニ。などグループ内ユニットも好きで踊ってました」
──当時、特に好きだったメンバーはいますか?
「当時は誰推しって言葉もなかったじゃないですか。だからメンバー全員が好きって感じで、卒業の度にヒクヒク泣いてましたね。ただゴマキ(後藤真希)さんが入ってきた時は衝撃でしたよ。まず金髪というのが怖くて(笑)。でも、すぐに好きになって、生まれて初めて自分のお小遣いで買ったCDがゴマキさんのソロデビューシングル『愛のバカやろう』で、初めて買ったアルバムが娘。にゴマキさんが加入して初のアルバム『3rd LOVEパラダイス』なんです。アルバムってイマイチって思う曲もあるじゃないですか。やっぱシングル曲が良いなってなるんですけど、このアルバムは全曲好きですね。娘。ヲタの人に聴くと、それほど評価は高くないんですけどね」
──古参のハロヲタから最も評価の高い娘。のアルバムは前作の『セカンド モーニング』ですからね。
「その頃の曲も好きなんですけど、初めて買ったアルバムというのもあって『3rd LOVEパラダイス』が一番好きなんですよね」
──その当時、娘。以外で好きなハロプロのメンバーはいましたか?
「毎年やっていたシャッフルユニットも好きだったので“ハロプロ皆好き”みたいな感じだったんですけど、グループだとメロン記念日さんが好きでした。秘かに娘。のオーディションを受けたくて『ASAYAN』と『MUSIX!』を観てた時に、課題曲がメロン記念日の『赤いフリージア』だったんですよ」
──5期メンバーの高橋愛、新垣里沙、紺野あさ美、小川麻琴が選ばれた『モーニング娘。LOVEオーディション21』ですね。
「そうです。そのオーディションを受けたらゴッコみたいな妄想をして、『赤いフリージア』を苦戦しながら歌ううちに、めっちゃ良い曲だなと思ってメロン記念日さんも聴くようになったんです」
──実際にオーディションを受けようとは思わなかったんですか?
「雲の上の存在だったので思わなかったですね」
──5期メンバー加入後の2002年に『ハロー!プロジェクト・キッズ オーディション』があって、後にBerryz工房と℃-uteを結成するメンバーがハロプロに加入しましたけど、当初から注目していましたか?
「テレビでは観ていたんですけど、それほどインパクトがなかったというか、誰が誰か分からない状態でしたね。だから、相変わらず娘。は聴いてたんですけど、Berryz工房も℃-uteも、あんまり聴いてなかったんです。その時期は、あやや(松浦亜弥)が好きだったんですよね。デビュー曲の『ドッキドキ!LOVEメール』から買ってました。ただ娘。も8期メンバーだった留学生のジュンジュンとリンリンがいた頃は聴かなくなって、娘。から離れた時期もあったんです」
──それが、どういうキッカケで再復帰したんですか?
「久々に娘。をYou Tubeで観ていて、たまたま℃-uteの『kiss me 愛してる』のMVも観たんですよ。それで、あまりにカッコ良くて鳥肌が立って、本当に私が知っていた頃の℃-uteと同じコたち? って思うぐらい大人びていたんです。特に、おでこを出していたなっきぃ(中島早貴)が大好きで、とにかく唇がセクシーで、キレキレのダンスをしながら可愛らしい表情をして。その前から℃-uteの曲は聴いてたんですけど映像は観てなかったから超ビックリしちゃって、それから目が離せなくなりました。同時にBerryz工房、スマイレージも勉強して、娘。も聴き直して『ジュンジュン、リンリン、ゴメン……』みたいな(笑)。もちろんドリ娘。(ドリームモーニング娘。)も聴いて、今は完璧にハロー!に戻りました。ただいまって感じ(笑)。むしろ前よりも濃くなっているかもしれない」
──イチ推しである℃-ute以外の、現ハロプロ所属グループの好きなところを教えてください。
「Berryz工房はオシャレさんが多くて、カッコ良い女性って感じですね。℃-uteがアイドルアイドルしていて可愛いらしいのとは対照的です。カラオケでは絶対にBerryz工房の曲を歌うんですよ。『ヒロインになろうか』とか『愛の弾丸』は腹から声を出して、大声で歌ってます(笑)。スマイレージは『夢フィフ(夢見る15歳)』のガニ股ダンスに衝撃を受けたんです。スカート短くてガニ股なのに、それが可愛くカッコ良く見えるんですよ。それでいてキャピキャピしてて、初めて観た時は昔の辻(希美)ちゃん加護(亜依)ちゃんを見ているような気分になりました。かにょん(福田花音)の暴走ぶりも目が離せないし(笑)。曲も昔のハロプロっぽくて、特にあややの曲を連想させるんですよね。娘。はガキさん(新垣里沙)が5月18日で卒業して、自分の中のモーニング娘。道もガラリと変わると思うんですよ。寂しさもあるんですけど、どんな新生モーニング娘。になるんだろうって楽しみでもありますね」
──ちなみに真野(恵里菜)ちゃんは聴きますか?
「もちろん聴きます! モベキマス推しなんで!! 全部聴かないとハロー!ファンにはなれずです。ただ今はハロプロじゃないですけど、真野ちゃんと同じハロプロエッグ出身の吉川友ちゃんやアップアップガールズ(仮)は聴いてないので、まだまだかなと思います」
──では自身のTwitterの背景画像にするほど入れ込んでいる℃-uteメンバーそれぞれの魅力を存分に語ってください。
「なっきぃは負けず嫌いで、一生懸命なんです。カッコ良くガンガン踊るんですけど声は可愛いんですよね。あんまりソロパートはないけど、そこはダンスでカバーして。MCも面白いし、観ていてほわほわします」
──昨年は2冊目のソロ写真集も出しましたよね。
「もちろん写真集も買ってます。ただ2冊目はセクシー過ぎましたね(笑)」
──セクシーなのは苦手なんですか(笑)。
「あんまり行き過ぎると……。あとハロプロに関しては、メンバーが出演する舞台や映画は見れないんですよ。なぜなら役柄でも、男の子と接しているのを観るだけでダメなんです(笑)」
──もう恋愛感情に近いですね(笑)。次にリーダー矢島舞美の魅力は?
「まいみぃーはキレイでマジメで優しいお姉さん。美人なので一見クールに見えるんですけど、嬉しいことがあったら誰よりも大喜びするし、天然なところもあるんです。そこが可愛いですね。ライブで汗でビショビショになるまでパフォーマンスするのもカッコ良いし、腹筋もスゴいし、大食いだし(笑)。あいり(鈴木愛里)はザ・アイドルですね。今のハロー!の大黒柱の一人で、とにかく可愛いし透明感があるし歌も上手いし、その一方で変顔もするしダジャレも言うし、それが面白いんですよね。とても素直な子なんだろうなって見てて和みます。ちっさー(岡井千聖)はチビなところが私と同じなんですけど(笑)。me-meをやらせて貰って一番お手本にしていたのがちっさーで、小さいけどパワフルだし、歌声も力強くてカッコ良いし。昔はボーイッシュだったけど今はどんどん美人になっていて、初めて『kiss me 愛してる』のMVを観た時も一番衝撃を受けました。マイマイ(萩原舞)は身近に感じるというか、なんか喋り方とかが友達っぽいんです。まあ私の友達にこんな可愛い子はいないですけど(笑)。一番メンバーでは年下ですけど歌声もダンスもカッコ良いですよね。あと『LALALA 幸せの歌』のMVのマイマイも、おでこを出していて世界一の美少女だと思います!」
──初めてコンサートに行ったのは℃-uteですか?
「そうです。初めて行ったのが去年の春の『超!超ワンダフルツアー』。それまで全くコンサートに行ったことがなかったんですよ。お金もなかったし、チケットを取るとか、コンサートに行くとか全然意味が分からなかったんですよ。MVと歌番組ばっかりで、コンサート映像自体観たことがなかったんです。やっと去年、どうしても℃-uteに会いたいってなって、生まれて初めてコンサートに行ったんです。あとコンサートって怖いイメージがあったんですよ。私は一人でポーッと観るのが好きなので、皆についていけないんじゃないかと心配だったんです」
──ハロプロ関連のコンサートは異常な盛り上がりを見せますからね。
「ただ思ったより、初めてのお客さんでも来やすい雰囲気でしたね。特定のコールやMIXを知らなくても十分に楽しめますからね」
──実際に生で観てどうでしたか?
「もう発狂、発狂、発狂(笑)。MC面白いし、踊りカッコ良いし、生歌ハンパないし。ずっと鳥肌で一回目は泣いてました。だから、あんまり跳び跳ねたりはしなかったんですけど、コンサートが終わった瞬間、次早く行きたいと思って、すぐに仕事の休みを取りました(笑)。『超!超ワンダフルツアー』だけで5、6回行ったと思います。朝と夜でセットリストも違うので、どっちも聴かなきゃって、めっちゃ行ってました」
──昨年9月リリースの『世界一HAPPYな女の子』では、握手会付きの発売記念ライブに参加して、その時の感動を3回に分けてブログに熱く綴ってましたよね。
「あの時は冷静になれなかったですね。何とかメンバーの顔は見たんですけどダメダメでした……」
──『超!超ワンダフルツアー』以降もコンサートには足を運んでるんですか?
「℃-uteとスマイレージの合同コンサート『℃&Sコラボレーション大作戦』には行きました。あとドリ娘。は名古屋公演にも行ったし、武道館公演も行って、ずっと感動して号泣でしたね。それ以外は、なかなか仕事で行けなくて……。(ひそひそ声で)ただ今度の℃-uteのツアーは休み取ってます。五反田ゆうぽうとホール、中野サンプラザ、ハーモニーホール座間は行けるんですけど、NHK大阪ホールは仕事が入っていて行けないんですよ」
──もう追っかけじゃないですか(笑)。じゃあ℃-uteの曲の中から、好きな曲を幾つか挙げるのって難しいですよね……。
「う~ん……。気分によって聴く曲も変わるんですよ。仕事で疲れた時は『会いたいロンリークリスマス』を聴くし、嫌なことがあった時は『ダンバコ(Danceでバコーン!)』を聴くし、今日は可愛い系のグラビアを撮るからテンション上げようって時は『世界一HAPPYな女の子』を聴くし、アルバム曲だと『②mini~生きるという力~』収録の『通学ベクトル』が大好きだし……。もう嫌いな曲がないですね」
──成瀬さんは、ぴゅあふるやアリス十番など個性的なアイドルグループを擁する「アリスプロジェクト」に所属するme-meの一員としても活動しています。me-meはティーパワーズに所属するMaika、めぐり、神咲詩織、桜ここみ、それに成瀬さんとAV女優5人で構成されていますが、ハロプロが好きだったことでme-meに活きた部分ってありますか?
「me-meの中で日本の女性アイドルグループ好きって私しかいないんですよ。だからファン目線で、自分がテンション上がることや嬉しいことを提案してますね。ただアイドルを大好きな分、中途半端になるのがスゴく悔しくて。本業は本業でやらなきゃいけないから、me-meだけの活動なら、もっと全力でできるのになって思いますね。もっとダンスのレッスンやボイトレもしたいんですよ。ライブでも中途半端でファンの前に出るのは嫌だなって」
──今年2月11日に2部構成でme-meの始動ライブを開催しましたけど練習期間はどれぐらいあったんですか?
「約2カ月です。振り付けはアリスプロジェクトに行った時に先生に2時間ぐらい教えて貰って、その前後に事務所で練習してました。その2カ月間は朝から夜まで、ずっとメンバーと一緒にいましたね。会う時間が多ければ大きいほど絆は深くなっていくし、同じ目標を持って活動していくのって楽しいんですよ」
──始動ライブの一部がYou Tubeにアップされてますけど、2カ月とは思えないほどの完成度でした。
「私たちなりに精一杯頑張ったんですけど、もっと頑張りたかった……」
──客席からのコールやMIXもスゴかったじゃないですか。
「You Tubeにアップされているのは昼の部のライブなんですけど、ファンの方も初めて私たちのライブを見るのにスゴく声援を送ってくれて。夜の部は、もっと盛り上がってくれて気持ち良かったですね」
──サイリウムの数もスゴかったですよね。
「もともとカラー分けって特になかったんですよ。でも私が℃-uteが好き過ぎて、カラー分けしましょうって提案しました。青、赤、黄色、緑、ピンクどれ? みたいな感じで勝手に℃-uteカラーにして(笑)。私はなっきぃが好きだから同じ青担当になったんですけど、私が歌う度に青のサイリウムが上がってワーッ! て気持ちが高まりましたね」
──ライブが終わった後、達成感はありました?
「ひたすら反省でしたよ~。でもファンの人たちが自分たちの曲を口ずさんでくださったことに感動しました。普通の新人アイドルさんと違って、me-meは無名の状態からではなく、ある程度個々のメンバーのファンがいるので、それなりに盛り上がるんですよ。だからファンの方にはスゴく感謝したんですけど、ライブをやるまでは正直、AVファンの方たちとはファン層が違うのかなって思ってたんです。いつもは私たちのイベントに来てる方も、me-meは来ないんじゃないかって不安もあったんですよ。でもAVファンの方たちも大勢観に来てくれて、本当に自分たちのことを応援してくれているんだなって嬉しかったですね」
──最後にme-meとしての目標を教えてください。
「これから月イチでライブをしていこうって話が進んでいるんですけど、もっともっと頑張って、どんどんお客さんも増やして、曲数も増やして。何年かかってもいいんですけど、いつか中野サンプラザでやりたいですね。中野サンプラザはハロー!好きの聖地ですから(笑)」
(取材・文=猪口貴裕/写真=道清展行)
成瀬心美公式ブログ「ここみんねっと」<http://blog.livedoor.jp/naruse_kokomi/>
成瀬心美Twitter●<http://twitter.com/#!/coco3n>
me-meオフィシャルサイト●<http://www.me-me.asia/>
様々なアイドルたちが浮かんでは消えて行きました
こっこみーん!!