ミステリードラマ&バラエティ多数出現! 「謎解きブーム」の謎を解く

※イメージ画像:TBS系「日曜劇場『ATARU』」オフィシャルHPより

 春の新番組が続々とスタートしている中でミステリーが注目を集めている。特に連続ドラマでは、その傾向が強く、平均視聴率のトップ3をジャニーズ所属のタレントが主演を務めるミステリー作品が独占。SMAPの中居正広が主演する『ATARU』(TBS系)の19.9%を皮切りに、嵐の大野智主演の『鍵のかかった部屋』(フジテレビ系)が18.3%を獲得、また、同じく嵐の相葉雅紀が主演する『三毛猫ホームズの推理』(日本テレビ系)が15.9%と結果を出した。民放ゴールデンタイムのバラエティでも『超再現!ミステリー』(日本テレビ系)や『完全犯罪ミステリー』(テレビ東京系)がスタートしており、テレビはまさにミステリーブームの真っ只中といっても過言ではない。

「もともと、『奇跡体験!アンビリバボー』(フジテレビ系)や『ザ!世界仰天ニュース』(日本テレビ系)など、ミステリーに特化しているわけではないバラエティでも、“完全犯罪”や“謎の事件”を特集することは多いです。実際に起こった出来事として放送するドキュメンタリー系のバラエティには、スリルがあり、ただタレントたちがバカ騒ぎするバラエティより知的好奇心を刺激する番組は、「特に見たいテレビがない」という人々を取り込めるのでしょう。それに、世界中で起こる犯罪や事件を紹介するわけですから、定期的にネタが見込めるというのも大きいですよね」(業界関係者)

 確かに、「実際に起こった事件」という触れ込みは視聴者に臨場感とスリルを与え、その再現VTRは番組を面白くする要素となる。インターネットなどの通信手段の発達で、全世界を漁場としてネタ集めのできる現在、人間が犯罪を犯し続ける限りネタに困ることはないだろう。しかし、それは逆に言えばネタを他者に依存するということだ。そしてその傾向は、なにもミステリーといった謎解き系に限ったことではない。

 たとえば、21日からスタートした『THEぶっちぎりTV』(TBS系)などもその一例。世界各地から衝撃的な映像を集めて、それを放送するといった内容のこの番組も、まさに、ネタそのものを他者に依存している番組といえる。

「制作費削減というのが、今のテレビ界の大きな課題ですからね。ひとつ企画を通すにしても、いかに節約できるかがポイントなわけです。その点、タレントを使わないでVTRを作れる海外の衝撃映像ものや実録系のバラエティというのは安価に作れ、重宝されます」(前出)

 ゴールデンタイムのバラエティともなればセットを作るだけで数千万円かかり、なにしろ失敗できないと語る関係者。制作費を抑えろと指示され、もちろん失敗もしたくない、そうした状況で生み出された苦肉の策が、世界中からネタを集めるということだったわけだ。

 今のテレビ界で巻き起こっているミステリーブームというのも、昨年「本屋大賞」を受賞し、年間売り上げトップに輝いた『謎解きはディナーのあとで』(小学館)の後追いであることは明らかだ。いくら制作費の削減や大金を費やしているゆえ失敗できないというプレッシャーがあろうとも、ブームまで依存するようになったテレビが、つまらなくなったと言われるのは当然かもしれない。
(文=峯尾/http://mineoneo.exblog.jp/
著書『松本人志は夏目漱石である!』(宝島社新書)

『謎解きはディナーのあとで』

 
売れてるだけに批判も多いが名作かと……

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