Mr.都市伝説・関暁夫「信じるか信じないかはあなた次第！」「新時代の扉はすでに開き始めているんです──」
映画『ピラミッド 5000年の嘘』（スターサンズ／2月18日全国公開）でゲスト声優を務めたMr.都市伝説・関暁夫は、その就任会見でこう語った。そして彼はこの映画について「その新時代へのヒントがある」と言い、「いよいよ時代が動き出したって感じですね。シナリオ通りと言えるでしょう」と都市伝説テラーとしての見解を示す。しかし、そもそも彼の語る”新時代”とは一体なにを指しているのだろうか。そして新時代とピラミッドの関係とは──。
長編ドキュメンタリー作品となっている映画『ピラミッド 5000年の嘘』は、まるでピラミッドを構成しているの巨石のごとく、いくつもの数学的および物理的な事実を積み上げ、そこから生じるさまざまな偶然を”何か意図があるのではないか”と推測する。そうして積み上げられた事実を元に提示される「地球そのものと深い関係にあるピラミッド」は、確かに単なる「王墓としてのピラミッド」というイメージを払拭するものになっている。
とはいえ、どこか”トンデモ感”が否めないのもまた事実。映画の主要テーマのひとつでもある、体制や権力や常識といった既存の固定観念に対する挑戦という試みには大いに賛同できるものの、見終わった後の妙な信憑性と共にやってくる”だからどうした？”という思いは捨てきれない。きっとそれは記者がピラミッドの問題を直接自分の生活に関わりがないものと思い込んでいるからなのだろう。そんな記者に対して関はこんな話をしてくれた。
「昔の人は地球が丸いなんてことを信じなかったわけですよね。でも、いろいろわかってきて今やそれが常識になった。最初に”丸い”ってことを聞いた人は、”嘘だろ”と思ったはずです。未知なるものに人は恐怖を覚えますからね。当然ですよ。ただ、最初に”地球は丸い”と言った人は、それこそ常識に捉われていなかったということではないでしょうか。常識を決めるのは自分です。そして否定するっていうことは愚かなことなんです。まず受け入れてみるということが大事でしょう。今、まさにそういう時代に来ているわけです」（関暁夫）
たとえば、普段の生活の中で地球が丸いことを実感する人は少ないだろう。しかし、その地球が丸いということは、感覚としては認識できなくとも、あらゆる点でわれわれの生活を支えている。関のいう”新時代”とは、そんな大転換とも言うべき事柄でありながらも壮大すぎて実感の伴わないものなのかもしれない。
「新時代とはつまり感じる時代ですよね。これまでは、あらゆるものを決め付ける時代でしたが、新しい文明は”感じる”ことがもっとも大事になります。考えて感じ、己で答えを導き出していく時代といえるでしょう。だからこそ、あらゆる可能性を頭から否定してはいけないのです」（同上）
そして彼は「フィルターの通された情報を鵜呑みにしてはいけない」と付け加える。
「人と人との間で信じるということは大切ですが、メディアなどから発信される人の話を丸っきり信じてしまうのは問題がありますよね。やっぱり大事なのは自分の頭で考えるということです」（同上）
関の話は、単なる娯楽としての都市伝説という枠を超え、教育論や現代社会の構造に迫る。そして繰り返されるのは「己で感じ己で考えなければいけない」という言葉。そんな彼の話は、まるで哲学者の講義のようで、時に坊主の説教のようだった。真実を追究するというのは、ある意味で観念を巡ることなのかもしれない。そして、そのことはインタビュー中、彼がことさらに”宇宙”という言葉を使ったことからも伺える。なぜなら、宇宙とは、まさにギリシャ哲学のコスモ（小宇宙）であり、密教の大日如来の思想と通じているからだ。関は、単なる都市伝説テラーではなく、思想家としての道を歩み始めたのかもしれない。
映画『ピラミッド 5000年の嘘』で提示される数多くの事実の一致は、それこそただのこじつけかもしれない。しかしそれもまた真実といえる。関は、それを「とりあえず受け入れてみてはどうか」と提案する。そして「その後で自分で考えてみろ」と。まさに「信じるか信じないかはアナタ次第」というわけだ。
関の示す新時代というものがどういった形で現れるのかはわからないが、彼の「己で感じ己で考えることの大切さ」という言葉は、積極的な人生を生きるために必要なことだ。賛否があるのは当然として、映画『ピラミッド 5000年の嘘』は、考えるきっかけを与えてくれる作品となっているのは言うまでもない。
（取材･文＝峯尾／http://mineoneo.exblog.jp/）
著書『松本人志は夏目漱石である！』（宝島社新書）
信じるか信じないかはあなた次第！
