積極的に恋愛をせず、消費的物欲が低い男性のことを「草食系男子」と呼んで久しい。物欲や性欲のもと、恋愛や仕事に張り切る男性をさげすむ風潮も出てきている。時代背景の変化で、趣味嗜好に幅が出てくるのは当たり前のことだと割り切る向きもあったが、そんなことも言っていられなくなる衝撃のレポートが「週刊ポスト」(小学館)に掲載されている。20代男性の精子数が、減少傾向にあるというのだ。
今回の記事では、20代男性の精子数が1mLあたり平均して4,600万個しかないと報告されている。40代前後の精子数が、8,400万個であることを考えれば、20年間でおおよそ半数になっているという。またこの傾向は、日本だけにとどまらず、デンマークでもほぼ変わらない数値を発表しているそうだ。原因には、インスタントラーメンの容器、水道水などに含まれる環境ホルモンなどが、人体になんらかの影響を与えているのではと、学者の考察も載せている。
通常、男性の精液は1mLあたりに5,000万~1億個の精子が存在しており、5,000万個以下なら「精子減少症」だと診断されるという。自然妊娠に必要な量は、1mL中4,000万個以上とされているため妊娠することは可能だが、危機感を覚えずにはいられないだろう。
精子減少については、以前からまことしやかにささやかれるウワサがあった。一昔前では、『メンソールの煙草を吸うと精子が減少する』という説が流布され、のちに携帯電話が開発されると、発せられる電磁波が男性の精子へ影響を及ぼすのでは、と報じられていたこともあった。今までは、これらを”オカルト科学”として一笑に付すこともできたのだが、最近の研究結果で減少の傾向が出ているのでは、笑うこともできない。
また、昨今新たに精子の減少に関わっているのではないかと言われるものが発見された。それは、IT社会では欠かすことのできないWi-Fiだ。
Wi-Fiの無線につないだラップトップパソコンの下に、精子をさらすとどうなるかという実験をアルゼンチンの研究チームが行っている。4時間放置した後に調べてみると、精子の運動性に低下が見られ、DNAの断片化の増加が確認できたという。この実験はあくまで空気中でのことであり、体内に存在する精子にも影響するかどうかは、今後研究していくとしている。
この結果次第では、IT社会の人間たちはさらに精子が少なくなる恐れがある。少子化が叫ばれてもなお、男性の性的欲求低下が話題となる日本。これ以上精子がなくなる前に、子孫を作るべく、男性も婚活に力を入れてみるべきなのかもしれない。
(文=木嶋陽介)
子どもが生まれない近未来を描いた良作