エロスを楽しもう。真っ赤な袴と白い着物と足袋が奏でる巫女さん狂騒曲。
稍日向『ぬこ巫女タン』
巫女さんから巫女さんまで、幅広く巫女さんを描く作家、稍日向氏の巫女さん本が出たぞー! えっ、幅が狭いですって? いえいえ、巨乳から貧乳、ネコミミに武者の亡霊まであらゆる巫女がよりどりみどりです。幅広い!
巫女さんエロ漫画は色々な作家さんがチャレンジしており、短篇集にバリエーションの1つとして入れられることも多いです。しかし、ここまで巫女づくしだと本当に潔いですよ。「HOT MILK」(コアマガジン)掲載分の二話だけは巫女さんモノじゃないですが、それ以外はとにかく巫女さん。しかも2005年発売のコミックスは『隣の巫女さんは皆笑う』で同人誌でも巫女さん描いています。巫女愛、眩しいです。
だからこそですよ。巫女さんであるのは最初の前提として、そこから先「どんな巫女さんがいいだろうか」を楽しめるのが本作です。なんといってもヒロインが、なんの説明もなくネコミミの巫女さんです。設定として「以前封じられていたモノノケなので、股間にお札を貼っている」という設定がありますが、細かいことはいいんです。見たいのは猫耳の巫女さんなんですよ、と言わんばかりの勢い。この開き直った世界観がドライブ効いています。
巫女さんのエロスはどこにあるかといえば、いろいろありますがやはり脚なんです。あの真っ赤な袴から伸びる生脚のコントラストは非常にエロティック。それに加えて「パンツはいている」「お札前貼り」「ふんどし」とマニアックなラインナップ。『隣の巫女さんは皆笑う』のスピンオフ「哉羅様のお月見」では「袴の下は履かない」主義です。あの赤い布の向こうには無限大の宇宙が広がっているのです。
基本的には巫女さん服着用セックスです。スカート型なのでめくれます。たくし上げられてむきだしになった股間は、エロいと同時に本当にかわいくてなりません。頬ずりしたくなるのは、おそらく袴をめくっているというワクワク感のせい。秘境探検隊みたいなもので、探検するのは股間の棒。そして終着地点は子宮口。断面図で子宮に精子を注ぎ込んでいる描写にこだわっており、聖なるものの奥底にたどり着いた感を楽しめます。エルドラド!
稍日向氏にはもう一つこだわりがあります。それは足袋です。袴はたくし上げるし、上の着物もはだけます。でも足袋は絶対脱がしません。「哉羅様のお月見」にいたっては、お風呂に入っているのに足袋ははかせたままセックスです。
これ明らかに異常ではあるんですが、読めばわかるんですよ。イきそうになる女の子がその足の指をきゅっとまげる時に足袋をはいていると、それが足袋のシワで強調されてものすごい力んでいるのが演出されるのです。本当に気持ちよさそうなのがじわじわ画面から足袋越しに伝わってきます。
巫女さんは、実に深い……。『ぬこ巫女タン』は”巫女”を単なる1シチュエーションではなく、ひとつの世界としてニヤニヤできる素敵な作品集です。いやあ、日本に生まれてよかった。
(文=たまごまご/たまごまごごはん)