付け八重歯がブーム! 八重歯の魅力とアイドルの変遷

 ネイルアート感覚で八重歯を手軽に付ける「付け八重歯」が若い女性の間でひそかに流行っている。歯を削ることなく、オーダーメイドで付け八重歯を作成し、歯科用の接着剤で既存の歯に装着するというもの。費用は2万円前後のものもあり、型取りから取り付けまで約1週間、施術時間30~60分という時間的な手軽さと手頃な価格が受けたようだ。都内の審美歯科では「小悪魔 八重歯」と名付けたサービスを展開しているところもある。

 自然な八重歯は、歯がねじれたり重なり合って変形した状態のことで、乳歯が生え遅れたか、あるいはアゴが小さすぎることが原因とされる。子ども特有の歯並びであるため、八重歯の出る笑顔は少女っぽく、かわいらしく見え、日本では昔からチャームポイントとして人気があった。最近は、八重歯のある女の子のことを「八重ガー」(八重歯ガール)と呼ぶそうだ。

 しかし、八重歯がポジティブに評価されるのは、世界では日本くらいなもので、特に欧米では単に「歯並びが悪い」としか見られず、歯並びの良さは社会的ステータスには欠かせない条件のようだ。また、吸血鬼の牙と印象が重なるという理由もあるらしい。近年は日本でも、欧米の「きれいな歯並びが美しい」という慣習に倣って、八重歯を矯正治療したり、抜いた人も多かった。

 最近は八重歯人気が再到来しているようで、AKB48の板野友美、フリーアナウンサーの杉崎美香、モーグルの上村愛子選手など、八重歯が印象的な有名人は確かに多い。これが最近の付け八重歯ブームの背景にあるのかもしれない。好きなアイドルやタレントと同じ髪型やファッションにしたいという発想である。

 ここで、八重歯がチャームポイントだった女性アイドルの変遷を追ってみる。まず、70年代デビューはアグネス・チャン、麻丘めぐみ、石川ひとみ、能瀬慶子、山口百恵などで、彼女たち5人は片八重歯だが、石野真子、小柳ルミ子、は両八重歯だった。

 80年代はまさに八重歯アイドル全盛期。マイナーなアイドルも入れると数限りなくいたので、知名度の高い人のみ挙げる。可愛かずみ、川島なお美、河合奈保子、中山美穂、松田聖子、松本典子、森尾由美、山瀬まみ、芳本美代子、渡辺満里奈、渡辺美奈代などがそうだ。実に豪華な顔ぶれである。ただ、松田聖子はデビュー当時だけで、すぐに矯正したようだ。

 90年代は八重歯アイドル低迷期なのか、坂下千里子、篠原ともえ、平山あや、hiro(SPEED・島袋寛子)、広末涼子が主だったところで、80年代に比べると少なく感じる。

 2000年以降はガールズグループ全盛であり、メンバーの中に必ず1人はいそうだ。モーニング娘。10期メンバーの工藤遥、スマイレージの田村芽実と和田彩花。AKB48は板野のほかには、梅田彩佳や大島優子がそうだ(梅田は矯正済み)。80年代のように大きくブレイクする八重歯アイドルが何人登場するか、これからに注目したい。
(文=上条泡介)

『小池唯写真集 Pink』

 
唯ちゃんの八重歯もかわいいです

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