日本全国のアラサー男子に夢と希望を与えた、大ヒット映画『モテキ』。人気漫画を元に、ドラマ化されたところからいっきに注目が高まり、映画版は、ドラマの1年後という設定で描き下ろされた。一応は非童貞とはいっても、サエない草食系アラサー男子が主人公。そのサエない主人公に、ある日突然「モテ期」が訪れるという内容だ。「女性と仲良くしたいが、どうにもこうにもモテない」という男性にとっては勇気の湧いてくる作品である。この映画をきっかけにTwitterを始めたという人もおり、モテキが世間に与えた影響は非常に大きい。
しかし、映画を観に行ったからといって、自分にも同様にモテ期が訪れるとは限らない、というのが現実である。いや、モテ期どころか、逆に「三十路になって急にモテなくなった」という「逆モテキ」を実感しているという人も多いようだ。なお、20代の頃から元々モテなかったという人は「逆モテキ」には当てはまらない。20代の頃は、そこそこ女性との交友関係はあったものの、アラサーになってパタリと女っ気がなくなった場合を「逆モテキ」とする。
「逆モテキ」を迎えてしまった人の共通点としては、「モテなくなった理由を、自分でもなんとなくわかっている」という点。まずは、「髪の毛が薄くなってきたことが逆モテキの原因かもしれない」という人がいた。薄毛とは、早かれ遅かれ、男性なら誰もが直面する問題。父親や祖父の頭を見て、「俺もいずれは……」と思い悩む男性も少なくない。薄毛の難しいところは、「カツラを買うほど進行しているわけではないが、20代の頃に比べれば薄くなってきた」という、どっちつかずな状況が一番厄介である。薄毛に対して女性陣に意見を求めたところ、「外見は気にしない」という人がほとんどだったが、実際には「髪の毛が薄くなってきた途端、モテなくなった」と感じている男性は多いようだ。
次に、「女性と知り合う機会がなくなってしまった」ため、モテなくなったという声もあった。20代の頃は、社交的な男友達が、合コンだの紹介だのと、さまざまな女性を紹介してくれていたが、そういった社交的な男友達が結婚してしまい、女性と知り合うチャンスが激減したというケースだ。このケースに類似したもので、「同年代の女性たちが結婚してしまい、周囲の未婚女性はどうにもこうにも恋愛対象にならないタイプばかり」という意見も挙がった。芸能界などでは、13歳年上の姉さん女房だったり、45歳年下の若妻などの話題に事欠かないが、一般人の間では、なんだかんだで恋愛対象は同年代というのが一般的のようだ。
「ヲタクをこじらせ、モテなくなった」という人も多いようだ。ここ数年で、ヲタク層に対して理解がある世の中になり、ヲタクであることを売りにした女性タレントなども登場している。この時代の流れに合わせて、ヲタクであることをカミングアウトした途端、モテなくなったとのこと。これには、アラサーという年齢が、大きく関わってくる。この年代は、どうしても恋愛の先に結婚を意識する年頃である。「ヲタクが悪いわけではなく、結婚後もヲタク活動に莫大な投資をされてしまうことが心配」という理由から、ヲタク男性を恋愛対象外と見る女性が多いということなのだろうか。
他にも、「両親が歳をとってきたので、1人暮らしをやめて実家に戻ったところモテなくなった」パターンもある。1人暮らしか実家暮らしかという部分は、恋愛においてしょっちゅう話題になる問題であるが、要するに2人きりでくつろげる場を持っていれば解決するのではないだろうか? 例えば、クルマやラブホなど。しかし、長引く不況の影響で、クルマの維持費やラブホ代に金をかけられないという人も多いだろう。そういえば、給料の減少を逆モテキの理由に挙げる人もいた。「ひと昔前までは花形職業と言われていたSEをやっているが、なり手が増えた・業界の体制が変わったなどの理由で、さほど稼げなくなった」とのことで、20代の頃のようにキャバクラ通いが出来ず、モテなくなったとのこと。キャバクラ以外でモテる方法を探すべきだろう。
20代の頃の輝かしいモテ人生と比較して、アラサーになって突然モテなくなったという現状を受け入れるのは辛いことと思う。逆モテキから抜け出すのは、簡単なことではないかもしれないが、人生とは幸せも不幸も突然やってくるもの。突然、モテキが復活することも大いにあると思うので、希望を持ち続けていたいものだ。
(文=菊池 美佳子)