現代の日本社会は、個人の生き方が急速に多様化しつつある。「高校ないし大学を卒業したら正社員として就職し、定年まで終身雇用を全うする」という時代ではなくなってきているようだ。
これは生き方に限ったことではなく、例えば音楽のジャンルもずいぶんと細分化され、もはや「誰もが聞く音楽」など存在しないのではないかと思ってしまうほど。ファッションとて、ひと昔前までは右にならえとばかりに、紺ブレが流行れば皆が紺ブレを買い、スタジャンが流行れば皆がスタジャンを着ていたが、平成を生きる現代人たちは、自身の嗜好や価値観に基づいて、服も音楽も選ぶようになってきた。
最もわかりやすい喩えとしては、年末の紅白歌合戦が挙げられる。国民みんなで紅白を観るという年末の過ごし方は、いまや定番とはいえないだろう。
これは、男女間に対する価値観にも同じことがいえる。「お年頃になったら、多少早い遅いの差はあっても、皆が一律に男女交際を始め、10代後半~20代前半くらいで初セックスを行う」というのは、必ずしも当たり前ではないようだ。趣味に没頭したい等の理由でセックスの必要性を重視しないライフスタイルや、インターネットやマスターベーショングッズの発達によって、第三者との肉体関係にメリットを見出さないという人が増えてきているのだろう。
むろん、そういった人々がセックスに対して抵抗感を抱いているのかというと、決してそうではない。今まで、たまたまセックスする機会がなかっただけで、なんらかのきっかけがあればセックスをすることもあるだろう、というスタンスだ。さて、ではその「なんらかのきっかけ」が貴方だったら、セックス初体験の相手を紳士的にエスコートすることができるだろうか?
おそらく、ほとんどの30代・40代男性が、ヴァージン女性とのセックスは、「童貞に毛が生えた程度の頃」以来ヤッていない、と思う。なお、「毛が生えた」とは、陰毛のことではなく、「ほんの少しマシな」という慣用句としてである、念のため。
話を元に戻そう。先に述べたように、現代の日本社会は価値観が多様化している。そのため、たまたまきっかけがなかっただけで、アラサー・アラフォーに至るまでヴァージンである、という女性が貴方の身近に存在するかもしれないのだ。つまり、ひょんなことからヴァージン女性の「初めてのオトコ」になる可能性は誰にだってあるということになる。
いざ、そういった機会に遭遇した場合、どのような心配りをするべきか、「童貞に毛が生えた程度の頃」の記憶を呼び起こそうとしても、はっきりと覚えていないという男性も多いだろう。そこで、ヴァージン女性の「初めてのオトコ」になる際のポイントをおさらいしておきたいと思う。
まず、「初回から挿入しようとせずに、慣れてきた3回目くらいに挿入すべし」という声。的を射た意見であるが、これは恋人同士以外の場合、次があるかどうかわからないということもある。一夜限りということもあるだろう。中には、「相手が痛がるのでなかなかうまく挿入できず、ついには萎えてしまった」という人もいた。もちろん、紳士的に「気にしないで」とフォローしたそうだが、心と股間は泣いていたとのこと。痛みに関しては、「女性側の負担を考えて、早めに終わらせるようにした」と気遣いを見せる人も。遅漏気味の男性は、コントロールが難しいかもしれない。肉体面はこれくらいにして、精神面でのポイントとしては、「今後の相手の幸せを祈りながらピストンする」という意見も挙がった。決して、自分で幸せにしてあげようと思わないのがコツなのだとか。
番外編として、女性が童貞男性の「初めてのオンナ」になる際のポイントとして挙げた意見もご紹介させていただこう。「(膣の)場所が分からない男性もいるので、手を添えて導いてあげたり、挿入しやすい体勢になってあげる」「本来は男性にリードされる方が好きだが、筆下ろしの場合は男性任せにしない」「コンドームの装着方法が分からない男性もいるのでレクチャーする」など、細やかな心配りをしている女性が多いことに感心させられた。
なお、二十歳を過ぎてセックス経験がない人の場合、初めてであることを隠したがる可能性も大いにある。そういった場合は、「もしかして処女?」などと問いただすのは避けたほうが良いだろう。「もしかして、このコ初めてかな?」と思っても、あえて言葉には出さず、黙々と腰を振るのが、「初めてのオトコ」としての紳士的な気遣いなのではないだろうか。
(文=菊池 美佳子)