平成AVの箸休め!? 昭和の官能映画でヌク!

onsenporno0630.jpg※画像は『温泉ポルノ~第一巻』/ブルーフィルム・アーカイブスより

 アダルトビデオの多様化が急速に進んでいる。ロリ系・巨乳系・熟女系などの定番物に加えて、昆虫を口に含んだり、女優の体を爬虫類が這うなどの、マニア層の需要を狙った作品も次々と登場している。人間の嗜好は十人十色であるから、選択肢が増えるというのはありがたいことではあるが、選択肢が多すぎて、どれを選んだら良いのか困惑しているという男性も多いのではないだろうか。そんな時は、原点回帰……ということで昭和に戻ってみては如何だろう。

 昨年、とある倉庫で、1950~1970年代の高度成長期に地方の温泉街で上演されていた官能映画が発見された。それらが「ブルーフィルム・アーカイブス 温泉ポルノ」として発売開始。再生ボタンを押して、まず目に飛び込んでくるのが『この作品は古いフィルムから収録されているため、随所にフィルム傷や音声の異常があります。ご了承ください』という断り文句である。さすが昭和といったところか。実際のところ、画像に荒い部分があったりもするのだが、それもまた昭和の情緒を堪能する、ある種のエッセンスになっていたりするのだから面白いものだ。

 しかし、昭和を堪能したいだけならノスタルジック系の映画等を観れば良いわけで、やはり官能映画というからには興奮してなんぼ、勃起してなんぼ、ヌケてなんぼという観点で判断したいものだ。というわけで、いくつかのポイントに分けて分析してみた。

<女優の肉体>
 現代のAV女優に比べると、目を奪われるほどの巨乳女優が登場するわけでもなく、尻や脚のラインなども、決して”抜群のプロポーション”とはいえない昭和の官能女優たち。しかし、決して悪くはない。ある意味、現代の一般女性に近いボディラインといっていいかもしれない。非の打ちどころのないパーフェクトボディのAV女優を観て、「どうせ実際に抱けるわけではないし……」と虚しさを感じてしまった時は、こういったリアリティのある映像を観て、生々しさをオカズにヌクのも一興である。

<レズビアン場面>
 1巻につき4編の作品が収録されているのだが、レズビアン物が多いことに驚かされる。現在発売されている3巻12編のうち6編がレズビアン作品なのだ。現代でも、「同性である男優が登場する作品よりも、レズビアン作品のほうが好きだ」という男性は少なくないが、昭和の人々もそうだったのであろうか。時代は変わっても、趣味嗜好は変わらないものなのかと、ここでまた昭和ノスタルジーを感じさせられてしまう。肝心のレズプレイ場面に関してだが、使用されているアダルトグッズが”バイブ”というよりは”電動こけし”と呼びたくなってしまうような旧型タイプであるのはご愛嬌。一番驚かされたのは、天狗の面を股間に装着しての挿入シーンである。昭和の時代は、ペニスバンド代わりに天狗の面が使用されていたのか! と、カルチャーショックを受けた。平成にはない発想といっていいだろう。

<ストーリー設定>
 絡み場面だけでなく、ストーリー設定にしっかりとしたバックグラウンドを持たせている作品が多い。目の見えない女性あんま師のヒモに金をゆすられる作家や、暴漢に襲われている若い女性を助けたところ、実は暴漢と若い女性はグルだったりとか、視覚効果よりも脳内刺激をオカズにしたい気分の時にはぴったりだろう。

 尚、女性である私がもっとも興奮を得たのは、ブティック店員の女性が、男性アイドルのポスターをオカズに、バナナを咥えながらオナニーに励むシーンから始まる『欲情に濡れた指』(3巻3話)。実際にバナナをしゃぶりながらオナニーをする女性が存在するとは思えないのだが、映像としては面白い。そして、客として来店した男性の、「爪が短い女は、看護婦かマスの常習者くらいだ」というセリフは、昭和ならでは! 飲み会などの下ネタで、「女子ってオナニーするの?」という話題になることはあるが、仮に「キミってマスの常習者?」と訊ねられたら、思わず本当のことを打ち明けてしまいそうだ。以上のように、ツッコミどころも満載ではあるのだが、男性客の恋人が、男性客の男友達に輪姦される場面等は、平成である今の時代に観ても充分刺激的である。

 過激さという観点からは、現代のアダルトビデオにはとうてい及ばない。しかし、こういった作品が、高度経済成長期を支えた昭和男児たちを奮い勃たせたのかと思うと、実に趣き深い。ハードな平成AVの箸休めの意味で手にとってみても、決して損のない作品である。
(文=菊池 美佳子)

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