騎乗位・オーガズム・潮吹き……これら3つは、セックスにおいて、男女で意見の相違が起きやすい三大行為と言っていいだろう。”意見の相違”とひとくちに言っても、勘違いの場合もあれば確信犯の場合もある。いずれにせよ、相手が求めていない行為を延々と続け、「ヘタクソめ!」と思われてしまうのは避けたいものだ。むろん、一般人がAV男優並みのセックススキルを習得する必要はない。しかし、最低限の心得を知っておいて損はないだろう。というわけで今回は、”騎乗位・オーガズム・潮吹き”に対する女性陣の本音についてひも解いてみたいと思う。
まずは騎乗位。男性にとっては、大層魅力的な体位である。自分自身の運動量を最小限に抑えることができる上、女性の揺れるバストを、寝ながらにして眺めることができるのだ。
しかし、残念なことに「騎乗位が苦手だ」という女性は非常に多い。その理由として、女性陣から挙げられる意見のほとんどが、「どうやって動いたらいいのか分からない」というもの。騎乗位は、世界的には”最も多く行われている体位”という説もあるが、ベッドのスプリングを利用してこそ確かな快感が得られる体位なので、布団に慣れ親しんだ日本人女性にとってはややハードルが高いのかもしれない。また、日本人女性は膣口が下付き(後ろ付き)の人が多いというのも、騎乗位に苦手意識を持つ理由のひとつとして挙げられるだろう。
そういった理由から、できれば騎乗位を回避したいというのが、大半の日本人女性の本音である。しかしオトコとしては、騎乗位でのセックスも楽しみたい。もちろん女性側とて、「苦手だからやりません!」などという高飛車な態度を取るつもりはないだろう。目の前の男性に喜んでもらうためなら、苦手だからといって門前払いせずに、果敢に挑戦しようという懐の深さは持っているはずだ。
しかし、ここで大切なのは男性からの提案の仕方である。「キミが気持ちいいように、好きに動いていいよ」という言い方は、極力避けた方が無難だろう。「『キミが当てたい部分に、自由に当ててごらん』とか言われるとカチンとくる」「いい人ぶらずに、素直に『疲れたから上に乗って』と言ってほしい」など、だいぶ辛口な意見が多く聞かれた。仮に、男性側が「いい人ぶっているのではなく、心から『好きに動いて、気持ち良くなってほしい』という親切心で言った」としても、騎乗位が苦手な日本人女性にとっては、それは重荷でしかない。
同様に、オーガズムについても男女の意見の相違は実に明確だ。あなたは、女性とのセックスにおいて、相手の女性をイカせることに躍起になってはいないだろうか? もし、「前戯・挿入時合わせて何回イカせたぜ!」などと、女性のオーガズムの回数に執着しているとしたら、一度ご自身のセックススタイルを見直していただきたい。
射精という、一瞬の絶対的快感に向けて腰を振る男性と違って、女性はいちいち絶頂に達しなくても、性器同士の擦れ合いだけで十分に満足を得ている人が多い。平たく言うと、「イカなくても十分気持ちいい」ということ。それなのに、「イッていいよ」「イッた?」「何回でもイカせてあげるよ」など、オーガズムに固執されると、演技(イッたフリ)せざるを得ないという流れになるのだ。
前述の、オーガズムの場合は演技(イッたフリ)という裏技を使えるが、そうもいかないのが”潮吹き”である。AVなどの影響で、潮吹き技術を習得している男性=テクニシャン、というイメージが強くなってしまったため、むきになって潮を吹かせようとする男性もいるが、女性にとって潮吹きとは、それほどの重要事項ではないのだ。むしろ、「潮吹き=気持ちいい、とは限らない」「1カ所を執拗に刺激され続けると痛い」「潮を吹かなきゃ、とプレッシャーに思うこともある」など、デメリットを挙げる女性も存在する。
もちろん、セックスに対する考え方には人それぞれ個人差があるので、一概に決め付けることは出来ない。騎乗位が好きな女性も居れば、セックスはオーガズムに達してなんぼという女性や、潮吹きにあこがれる女性も居るだろう。しかし、それとは真逆の考え方を持っている女性も、決して少なくはないのだ。セックスは、”秘め事”という要素の強い行為なので、相手の本音を聞きにくい。だからこそ、勘違いセックスをしてしまわないように、考え方を柔軟にして挑みたいものである。
(文=菊池 美佳子/ブログ「マンゴージュースと黒あわび」)