都内四大マニアック風俗（秘）探訪

　風俗の王道は、「若くてカワイくてスタイル抜群の女の子が、濃厚なサービスで射精に導いてくれる」というものだろう。多くの風俗ファンは、この目的をかなえるため、風俗店へと日参しているわけだ。

　しかし、人の性癖は十人十色。男の数だけ性癖があり、女の好みがある。風俗の王道がどうであれ、決して譲れない性的興奮の「ツボ」が一人ひとり微妙にズレているだろうことは、読者ならご承知のことと思われる。その「ツボ」が他人より大きくズレている男性を満足させるための風俗。それが、「マニアック風俗」である。

　今では一般的になった人妻風俗も、15年ほど前はマニアック風俗のひとつだった。そして現在は、さらにマニアック色を濃くした風俗店が増えているのだ。

　たとえば、人妻よりさらに年を重ねた50～70代の「熟女店」。「脚フェチ」「乳フェチ」はもとより、「チビ」「長身」「デブ」「軟体」など、風俗嬢の身体的な特徴をアピールする店。そして、マニア風俗の域を脱して、今やメジャー化しつつあるのが、「陵辱」や「痴漢」「コスプレ」など、プレイスタイルそのものがマニアックな店である。

　それぞれ説明しようにも奥が深すぎて、せいぜい「人妻好きのM」程度の筆者（48歳男性）には、取材なしには安易に文字にすることはできない。 そこで、マニアの「ツボ」について、実際の経営者に話を聞いてみよう。

「ウチのお客さんは、くすぐったりくすぐられたりすることに性的興奮を覚える方々で、発射しないで帰るお客さんも多いですね。一般の店ではよくあるお客さんからの”本番強要”も一切ないです」

　そう語るのは、当特集【2】からのレポートに登場する、渋谷「くすぐり宅配便」の店長氏。マニア店に通う客は、己のツボさえ満たされれば、射精せずとも性的に満足するらしいのだ。これは、今回取材した別のマニア風俗店でもよく聞かれた。

　しかし、そんなごく少数の客だけを相手にしているマニア店では、実際に経営が成り立っているのだろうか？　この疑問に対し、『誰も教えてくれない「風俗」 商売の始め方・儲け方』（ぱる出版）の著者・立川文人氏はこう答える。

「2005年の新風営法改正で無店舗型風俗が登録制になって以降、デリヘルは急増していて、現在、都内には1500軒ほどのデリヘルがある。競争率は非常に高くなっているんですけど、マニアックな店は、もともと無店舗型が多いにもかかわらず、それほど増えてないんですよ。なぜなら、そのツボにハマった客は離れずにひとつの店にリピートしてくれるので、他店の新規参入が起こりにくいからなんです。料金をある程度高めに設定しても、客も内容に満足しているので、細く長く続けることができる。しかしそれには、経営者にもマニアとしてのセンスが必要になる。だからこの手の風俗店の店長さんには、自身がその分野のマニアという人が非常に多いです」

　実際、一般的なデリヘルの都内相場料金が60分1万7000円程度なのに対し、マニア店は60分2万円程度の店も多い。

　さらに、デリヘルのそもそもの開業資金が、最低100万円程度でもなんとかなることも、マニア店の増加に追い風となっている、と立川氏は語る。

「風俗は、とにかく女の子集めが肝心。開業資金100万円のうち50万円ほどは、求人と客寄せの広告に消えるでしょう。しかし、あとは狭くてもいいから事務所を用意し、机と電話一本があればいい。だから、参入障壁自体は意外と低いです。でも、普通のデリヘルは競争相手が多いから、短期決戦でパッと稼いでパッと辞めるか、逆にほかを蹴落として規模拡大していくところに二分化される。けれど、先述の通りマニア店は、細く長く続けられるんですよね」

　01年に始まった石原都政下の歓楽街”浄化作戦”で、つい10年ほど前まで歌舞伎町などに乱立していた店舗型風俗店は、05年には壊滅状態に陥る。その分デリヘルが急増し、過当競争でサービス過剰になり、一部では”本番サービス”も常態化、警察による摘発も珍しくはなくなっている。しかし、前述の通りマニア風俗店では、自分の嗜好を満たせば発射せずとも満足、という客が多く、その分”安全”に営業ができるのだ、と立川氏は続けた。

（文／関口ヒサヨシ）

今回マニア風俗を評してくれた鬼畜ライター・角川慶子が語る
「どんなオンナも商品になるマニア風俗の奥深さよ」はプレミアサイゾーにて

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